介護付き有料老人ホームで起きた「川崎老人ホーム連続殺人事件」ですが、犯人の今井隼人の生い立ちや裁判が話題です。
今回は川崎老人ホーム連続殺人事件の経緯、犯人・今井隼人の生い立ち、母親など家族、裁判や判決など現在を紹介します。
この記事の目次
川崎老人ホーム連続殺人事件の概要
“川崎老人ホーム連続殺人事件”とは、神奈川県川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で起きた連続殺人事件です。
2014年11月から同年12月にかけ、入居していた男女3人が相次いで転落死していたことが翌2015年9月に発覚。その後の捜査により、2016年2月に当施設の元職員が逮捕されました。
川崎老人ホーム連続殺人事件の具体的な経緯は次の通りです。
・2014年11月4日に丑沢民雄さん(87)が4階から転落死
・2014年12月9日に女性(86)が4階から転落死
・2014年12月31日に女性(96)が6階から転落死
わずか2ヶ月程の短い間に、3人もの入居者が同じ介護付き老人ホームで転落死したというこの事件。
初動捜査の段階では変死として処理されたものの、後に、12月9日の2件目の転落死が起きた夜には、近隣住民が「うぉーっ!」という異様な叫び声を聞いていたことが明らかになりました。
出典:https://mainichi.jp/
#今井隼人 の事件について。
— しふと😈登山 (@at_the_foot_of) 2016年2月20日
警察は司法解剖をせず「変死」として処理。
3人目の犠牲者が出るまでにどうにか出来たはずな。警察の初動捜査の遅れ、施設の管理体制の甘さ。
神奈川県、内側が所々腐ってる事がこの事件からわかる。
さらに、次のような証言が出てくるに至っては、神奈川県警も事故に見せかけた殺人事件の可能性を疑わざるを得ない状況になっていきました。
「深夜に男性と女性が言い争うような声が聞こえてきました。何を話しているのか、ハッキリとは聞こえなかったのですが、急に静かになったと思ったら、短い悲鳴のような叫び声が聞こえ、ドスンと地面に響く音が聞こえたのです」
引用:“川崎老人ホーム惨殺事件”介護士・今井隼人容疑者の素顔とは?(1)事件の経緯 | アサ芸プラス https://www.asagei.com/
警察の捜査が進む中、この3件の転落死が発生した全ての日に、同老人ホームに勤務していた職員がいることが判明。
事件の容疑者として浮上すると、2016年1月30日からは、この人物に対して事情聴取を続けていました。
ちなみにこの人物は、2015年5月に同老人ホームで繰り返し窃盗を働いた容疑で逮捕され、既にこの事件により懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決を受けていたんですよね。
出典:http://news-daisuki.net/
そして、2016年2月15日、遂にこの人物から犯行を仄めかす自供が得られたことで、神奈川県警は1人目の犠牲者とされる丑沢民雄さんへの殺人容疑で逮捕するに至りました。
川崎老人ホーム連続殺人事件で逮捕された犯人とは、一体どんな人物だったのでしょうか。
川崎老人ホーム連続殺人事件の犯人・今井隼人の生い立ちと経歴
小学生時代の今井隼人
神奈川県横浜市で電器店を営む家の長男として誕生した今井隼人は、地元の小中学校に通い、少年時代はしばしば店番を手伝う姿も目撃されています。
小学校時代の友人の話によると、幼少期の今井隼人は普段は穏やかなごく普通の少年だったものの、何故か急に怒り出すという奇妙な行動が見られたと証言しています。
中学生時代の今井隼人
小学生時代から音楽に興味があった今井隼人は、中学校入学を機に吹奏楽部に入部しています。
出典:http://www.shohei.sugito.saitama.jp/
この中学時代には合唱コンクールの指揮者を経験しており、顧問の先生や両親が驚くほど身振り手振りの激しい指揮を披露。見事、最優秀賞を受賞したそうです。
小学生時代はどちらかと言うと大人しい、目立たない生徒でしたが、中学生時代には吹奏楽部の部員をまとめるリーダー的存在になっていたようです。
高校卒業後の今井隼人
小中学校時代の今井隼人の様子については、調べてみるとポツポツと出てくるものの、高校時代の様子については出てきていません。
また、小学校時代の目立たない生徒に戻ってしまったのでしょうか…。
しかし、高校卒業後の様子については、同期の証言など具体的なものが出ているようです。
今井隼人は、地元・横浜市内の高校を卒業後、2011年4月に医療系専門学校に進学しています。
この専門学校で3年間同じクラスで仲が良かったという男性の証言が見つかったので紹介しておきましょう。
ちなみに次の画像は、今井隼人の専門学校の卒アル写真です。
出典:https://www.iza.ne.jp/
中学時代に吹奏楽部に入部し、リーダー的資質を見せていた今井隼人ですが、その資質は高校卒業後も維持していたようです。
「正義感が強くてやさしいやつだった」、「話題も豊富で誰とでも仲良くしていた」、「クラスを引っ張るタイプだった」との証言がありました。
しかしその一方で、次のような気になる証言も…。
一方で、自分の内心や家庭環境についてはあまり口にせず、「負けず嫌いで、たまに自分を大きく見せるところもあった」といい、一緒に遊びに行くと「吹奏楽の指導で稼いでいるから」と必ずおごってくれていたという。
引用:川崎老人ホーム転落死 「正義感強くてやさしいやつだった」消防士の夢破れ…:イザ! https://www.iza.ne.jp/
また、川崎老人ホーム連続殺人事件の舞台となった「Sアミーユ川崎幸町」に入社した後も、高級ホテルに宿泊したり、同僚などに食事をおごるなど、太っ腹だったと言われています。
医療系専門学校卒業と同時に救急救命士の資格を取得するも…
今井隼人は医療系専門学校での3年間の課程を経て、同校の卒業と同時に救急救命士の資格を取得しています。
出典:https://mikata.shingaku.mynavi.jp/
しかし、今井隼人はその道に進むことはなく、2014年4月より「Sアミーユ川崎幸町」に入社し、一般介護士として仕事に就いています。
ちなみに今井隼人は同社の面接の際、「身内の介護を経験し、そのような仕事に就きたい」との志望動機を語っているようです。
しかし、実のところ今井隼人は、救急救命士の資格を取得した後、かねてよりの夢だったという消防士の試験に臨んでいるのですが失敗に終わっているんですよね。
もしかするとこの消防士試験失敗が、今井隼人のその後の人生を狂わせてしまったのかも知れません。
川崎老人ホーム連続殺人事件の犯人・今井隼人の母親や家族
今井隼人の家族は、母親と妹がおり、事件当時は横浜市内のマンションで同居していました。ちなみに、電器店を営んでいた父親は既に他界しているようです。
そんな中、今井隼人被告の母親が、検察側の証人として法廷に立ち、驚きの証言をしたことで話題になっています。
検察側の証人として出廷した今井隼人被告の母親
2018年2月8日、今井隼人の裁判員裁判が横浜地裁で開かれました。
警察による取り調べの段階では、丑沢民雄さんの殺害を仄めかす自供をしていたものの、公判では一貫して無罪を主張し始めた今井隼人。
出典:http://peru-0106.blogspot.com/
そんな今井隼人に対して、検察側の証人として出廷した母親は、「息子から直接『自分が殺した』と聞いた」と、今井隼人に不利になる証言をしたんですよね。
さらに、母親は次のように続けたと言います。
「知っていることを知っているまま話すことが、人生をリセットする最後のチャンス」
これに対して今井隼人は、それまでの公判中と変わらず、顔色一つ変えずに淡々とメモを取っていたと言われています。
川崎老人ホーム連続殺人事件の犯人・今井隼人の現在~死刑が確定する
裁判では一転して無罪を主張し始めた今井隼人
今井隼人は2016年2月7日、神奈川県警による任意の事情聴取に対して「入所者から頼まれて殺した」と供述していました。
その後の同月15日になると「僕が殺そうと思って殺したのが事実です」と自供したことから、殺人容疑で逮捕されました。
ところが、裁判になると一転して、前述の自供は警察官から圧力があったためと、無罪を主張し始めたんですよね。
出典:https://twitter.com/
防犯カメラの映像など犯行を裏付ける直接的な証拠がない中、今井隼人が2016年2月の逮捕前後に犯行を認めた様子を撮影した録音・録画の内容の信用性が、最大の争点となっていました。
検察側は論告求刑で、
・被害者はいずれも高齢でベランダの柵を自力で乗り越えることは難しかった
・すべての発生日に夜勤だったのは被告だけだった
・同僚に「犯行予告」をしていた
・自分の母親にも殺害を認めていた
と指摘し、それでもなお無罪を主張する今井隼人について、「更生する可能性は皆無で、極刑以外の選択の余地はない」と死刑を求刑しました。
第一審・横浜地裁は今井隼人に対して死刑判決を言い渡す
2018年3月22日、3件の殺人罪に問われた今井隼人の裁判員裁判の判決公判で、横浜地検は無罪を主張していた今井隼人に対して、検察側の求刑通り、死刑を言い渡しました。
出典:https://bungu-uranai.com/
渡辺英敬裁判長は、次のように厳しく批判しました。
「自白の信用性をまつまでもなく、被告が犯人か、その嫌疑が高度だ」
「人間性のかけらもうかがわれない犯行」
「更生の出発点にも立っていない」
なお、弁護側は即日控訴しています。
ストレスを殺人理由にするのはおかしい!
— sousui☆劇場版冴えカノ☆声優 花守ゆみり推し☆新作 宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち (@sousui_) 2016年3月5日
マスコミは報道の仕方を考えるべき
殺人容疑の元職員「分刻みの業務表でストレス」 転落死(朝日新聞デジタル) https://t.co/63aLTV2pY5 #Yahooニュース #老人ホーム #転落死 #逮捕 #今井隼人 #ストレス
川崎の介護施設の事件、自分で投げ落としたお年寄りに蘇生措置していたと聞いて闇を感じた…サイコパスだし代理ミュンヒハウゼン症候群も併発しているのでは… #今井隼人
— Mad.Kanako (@kana_com) 2016年2月18日
この事件は、介護問題の難しさや現代人のストレス等の社会問題ではなく、容疑者の個人的な人格問題であり、承認欲求や目立ちたがりの側面でもっと報道すべき。こいつは代理ミュンヒハウゼンでもありそう。 #今井隼人 #老人ホーム転落
— うたがわ百々 (@Nana01sp) 2016年2月17日
また、今井隼人の“代理ミュンヒハウゼン症候群”を指摘する声も少なくないようです。
代理ミュンヒハウゼン症候群とはミュンヒハウゼン症候群の一形態であって、傷害の対象が自分自身ではなく何か代理のものであるような精神疾患である。
多くの場合、傷害対象は自らの子や要介護者であるため、児童虐待、高齢者虐待、障害者虐待と同列に挙げられる。しかしながら傷害行為自体は患者の目的ではなく、手段として傷害行為に及び自分に周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとしているものである(共依存)。子が患者の傷害の対象である症例では、患者は傷害を目的として行っているわけではないとはいえ、行為が反復・継続し、重篤な傷害を負わされる危険がある。
引用:代理ミュンヒハウゼン症候群 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org
第二審・東京高裁も今井隼人に対して死刑判決を言い渡す
今井隼人はその後の2022年3月9日、第二審でも死刑判決となっています。
神奈川・川崎市の老人ホームで入所者3人を転落させて殺害した罪に問われた男の控訴審判決で、東京高裁は一審に続いて死刑を言い渡した。9日の判決で東京高裁は、「それぞれの被害者を殺害した犯人と認めることができる」としたうえで、「悪質性が際立っているという一審判決の評価は相当」と結論付け、控訴を棄却して死刑を言い渡した。
弁護側はこの控訴審判決を不服として、同月18日付で最高裁に上告しています。
今井隼人が上告を取り下げ死刑判決確定
今井隼人は2023年5月11日付で、最高裁への上告を取り下げています。
これにより今井隼人の死刑判決が確定することとなりました。
今井隼人は、気持ち的に疲れがたまってしまったため上告を取り下げる意向であることをテレビ朝日の取材に対し手紙で明かしていたようです。
テレビ朝日の取材に対し、今井被告は「ここまで長く戦ってきて気持ち的にも疲れがたまっていました。限界であると思い、上告の取り下げをしようと考えております」とする手紙を送っていました。上告が取り下げられたことで、今井被告の死刑判決が確定したことになります。
川崎老人ホーム連続殺人事件が起きた施設の現在
現在の「Sアミーユ川崎幸町」は?
事件当時の「Sアミーユ川崎幸町」では、各入所者の情報を1人の管理者が取りまとめ、施設職員への指示もこの管理者から出されていたそうです。
出典:http://moto-netasennpuu.seesaa.net/
川崎老人ホーム連続殺人事件の後、運営母体が変わった「Sアミーユ川崎幸町」では、次のような対応策が講じられていたようです。
現在は、複数の管理者を置いて負担を軽減。職員の分業制も進め、入所者一人一人に目が行き届くようにしているという。
また、職員たちには定期的にストレスチェックを実施。悩みごとなどの相談窓口を社内外に設置した。施設関係者は「対策は複層的なものになっている」と話す。
引用:川崎老人ホーム転落死「個々の責任範囲広すぎた」 施設側、事件受け職員のケア重視:イザ! http://www.iza.ne.jp/
#今井隼人 氏が起こした川崎市の老人ホームの事件は氏の問題ではあるのですが、他の職員による暴行なども鑑みるにファミーユを運営していた株式会社メッセージは問題の多い組織であったのだと考えます。代表は #橋本俊明 氏。事件のさなかに株式をジャパン損保に売却しています。 pic.twitter.com/4pDMWjuEXn
— 時刻館 (@zikokukan) 2018年3月22日
出典:http://livedoor.blogimg.jp/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
神奈川県川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、2014年11月から同年12月にかけ、入居していた男女3人が相次いで転落死した“川崎老人ホーム連続殺人事件”。
今回、この川崎老人ホーム連続殺人事件の犯人、今井隼人の生い立ちや、公判で検察側の証人として出廷し、驚きの証言をした母親や家族についてまとめてみました。
無罪を主張し続けていた今井隼人ですが、2023年に死刑判決が確定しています。今井隼人からは謝罪や反省の言葉が出てきておらず、被害者や遺族の方の気持ちを思うと無念でなりません。