「運命の人と結婚したい」と誰でも1度は思ったことがあると思います。
一般的な常識で言うと、「運命の人はこの世にただ1人」であり、結婚する相手は1人だけ。死別・離婚したりしたらともかく、結婚する相手は1人だけ。日本の常識で考えると、この通りですよね。
でも、この世の中には、そして歴史上では「1人の相手と結婚する」ということが常識ではないこともあるんです。
今回は重婚について取り上げていきます。重婚の意味や重婚の歴史、海外での重婚事情、重婚をした政治家、重婚騒動があった芸能人・有名人をまとめました。
重婚とは
重婚とは、すでに結婚している人が違う人と結婚することです。一度に複数の人と婚姻関係になることを重婚と言います。
現在の日本では、重婚は認められていません。日本では、一夫一婦制が原則となっていて、民法では次のように定められています。
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
つまり、日本では重婚は民法によって禁止されています。ただ、戸籍上のちょっとした手違いなどで重婚状態になってしまうことはあります。
婚姻届けを提出する時に戸籍事務の手続きの間違いで、すでに結婚している人の婚姻届けが受理されたり、相手に離婚届を託していて、その離婚届が提出されていると思い込んでいたら、実は提出されていなかった場合などですね。
また、外国の法律に則って結婚している人が、日本の法律に則って結婚する場合も重婚に当たります。国際結婚が増えている現在、重婚している人は増えていると言われています。
もし、何らかの事情で重婚になった場合は、民法で次のように定められています。
第744条
1.第731条から第736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2.第732条又は第733条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。
重婚は民法第732条で禁じられていますので、当事者や当事者の配偶者、前配偶者、親族などがその結婚を取り消すことができるということになります。
重婚は犯罪です!
重婚は民法で禁じられている行為です。日本は一夫一婦制ですから。でも、重婚をしようとたくらむ人はいるんです。そういう人は、戸籍事務の隙を塗って、相手を騙して重婚しようとします。
そういう人が重婚をすると、刑法で罰せられます。つまり、重婚は犯罪なんです。重婚をすると、日本ではどうなるか?刑法第184条では、次のように定められています。
第184条
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
重婚した人は2年以下の懲役になるということですね。ちなみに、その相手も同じように2年以下の懲役になりますが、この場合は「重婚になる」と知っていた場合に限ります。相手がすでに結婚していることを知っていた場合のみ、罪に問われるというわけですね。
騙されていて、重婚になると知らなかった場合は、例外として罪に問われることはありません。騙されて知らずに結婚したら、むしろその人も被害者ですよね。
また、この法律は日本の法律上で結婚した場合のみに適用されます。つまり、内縁状態で婚姻届けを提出していない場合は、適用されないことになります。婚姻届けを出していなければ、事実上の重婚状態になっても、法律上では罰せられることはないということですね。
重婚の日本の歴史
日本における重婚の歴史を見ていきましょう。現在の日本の法律では、重婚は禁じられています。では、歴史上はどうだったのでしょうか?
庶民はともかく、上流階級では事実上の重婚は当たり前のような状態でした。時代劇を見ていると、「正室」・「側室」という言葉が出てきますよね。
日本の歴史上における正室と側室は、簡単に言うと、次のような扱いになります。
・側室=愛人、妾
この側室は古代から脈々と続いてきたものですので、日本は歴史上長いこと重婚が認められてきたということになります。
では、日本で重婚が禁じられたのはいつなのか?それを見ていきましょう。
重婚を禁じられたのは1898年
日本では事実上の重婚が認められていたのですが、法律で禁じられたのは1898年です。1898年(明治31年)になって、民法に重婚を禁じることが記載されました。そして、それが現在まで続いています。
そして、重婚を禁じた人として、大きな転換期を作ったのが大正天皇です。明治天皇までは天皇は世継ぎを作るために、側室を持つのは当たり前のことでした。明治天皇にはなんと7人(公式には5人)の側室がいたんです。
でも、大正天皇は側室を持つことはなく、一夫一婦制を貫きました。そして、昭和天皇の時代になって、法律で皇室も側室を持つことは禁じられ、庶民と同じく一夫一婦制を貫くことが定められたんです。
重婚の海外での事情
では、次に海外での重婚事情を見ていきましょう。海外での重婚事情は日本とはちょっと異なります。海外でも一般的には重婚を禁じている国が多いです。ワールドスタンダードとしては、「一夫一婦制」なんですね。
ただ、重婚を認めている国・文化もあるんです。
イスラム諸国は重婚OKの国がある
重婚が認められている宗教と言えば、イスラム教を思い浮べる人は多いと思います。イスラム教では、コーランに基づくイスラム法的制度の中で一夫多妻制、つまり重婚を認めているんです。
男性は4人まで妻を持つことができるとされています。しかし、男性なら誰でも重婚できるというわけではなく、きちんと妻子を養う経済力を持っていること、さらに複数の妻はそれぞれ台頭に扱わなくてはいけないなどの条件が付いています。
日本人から見ると、「ありえない」と思うかもしれませんが、宗教の違い・文化の違いとしか言いようがありません。
世界中にたくさんあるイスラム諸国の中で、重婚を禁じている国はトルコやチュニジアなどまだ少ないのが現状です。
アフリカも重婚を認めている国がある
イスラム諸国以外にも、重婚を認めている国はあります。アフリカの中には、重婚を認めている国があります。
例えば、南アフリカの第11代大統領(2009年~2018年)だったジェイコブ・ズマ氏は3人の妻を持っていました。南アフリカでは国全体として重婚を認めているわけではありませんが、部族で重婚の慣習がある場合に限って、重婚を認めているんです。
ジェイコブ・ズマ氏はズールー族でしたが、ズールー族では重婚の慣習があったため、彼の重婚は認められていたというわけですね。
モルモン教は重婚OKの宗教だった
モルモン教はキリスト教から生まれた宗教ですが、現在では重婚は禁じられていて、不倫を厳しく断じている宗教ですが、19世紀末までは重婚を認めている宗教でした。
認めているどころか、奨励しているような側面があり、モルモン教の創設者であり予言者と信じているジョセフ・スミスは最大40人の妻を持っていたと言われています。
だから、モルモン教原理主義者の人たちは、今でも重婚にこだわる部分があり、2017年にはカナダでモルモン教の分派教団の幹部が重婚(1人は妻25人、1人は妻5人)の罪で逮捕されました。
重婚をした政治家:中川俊直
中川俊直
生年月日:1970年4月25日
出身:広島県東広島市
所属:自由民主党
選挙区:広島4区
当選回数:2回
活動:政治家
法律を作る立法府であり、国唯一の立法機関に属する衆議院議員の政治家だった中川俊直氏は、重婚疑惑で衆議院議員の職を失うことになりました。
中川俊直氏は1995年に25歳で高校時代から交際している女性と結婚しています。しかし、2017年に重婚疑惑が報じられました。
出典:twitter.com
2013年に愛人だった女性とハワイで結婚式を挙げ、結婚証明書を発行してもらっていたんです。この発行してもらった結婚証明書が、アメリカでどこまで法的効力があるものなのかは不明ですが、「Certificate of Marriage(結婚証明書)」にサインをしているということは、重婚していると思われても仕方がないですよね。
そもそも、既婚者が結婚証明書にサインをするということは、どういうことなのか?どんな意味を持つのかは、誰だってわかりそうなものです。
中川俊直氏も「重婚している」という意識はあったようです。
・日本人に会わないためにメジャーな5つ星ホテルではなく、マイナーな3つ星ホテルに宿泊していた
・結婚証明書のサインは「Toshinao」ではなく漢字を音読みにした「shunchoku」にしている
この結婚式を挙げるために愛人とハワイに行った時には、他の人にバレないようにこのように細心の注意を払っていたんです。ということは、「愛人と結婚式を挙げるのがバレるのはヤバイ」と分かっていたということですよね(当たり前ですが)。
そして、重婚はやってはいけないこと・法律で禁じられていることと分かっていたのだと思います。
衆議院議員という職に就いていながら、重婚をしてしまうというのは、どういうつもりだったのでしょうか?本人たちはそれほど重要なことではなく、遊びのつもりだったのかもしれませんが、衆議院議員の重婚がバレたら、大炎上して問題になることくらい簡単に分かったことだと思うのですが。
中川俊直氏はこの重婚疑惑のほかに、ストーカー登録疑惑や集団レイプ疑惑などのスキャンダルが続々と発覚し、経済産業大臣政務官を辞任し、さらに自民党を離党することになりました。
さらには、2017年の衆議院総選挙には出馬することができず、議員職を失職しています。
重婚はもちろんいけないことです。ただ、本人は遊び半分の気軽な気持ちでやっていたのかもしれません。
中川俊直氏は若手のホープとも言われた議員でしたので、遊び半分の重婚疑惑の代償はあまりにも大きかったと言えるでしょう。
重婚騒ぎの芸能人・有名人8名
重婚騒ぎを起こしたのは政治家の中川俊直氏だけではありません。芸能人や有名人にも、重婚騒ぎを起こした人はいるんです。
1.石原真理さん
出典:jisin.jp
石原真理
生年月日:1964年2月4日
出身:東京都大田区
身長:160cm
血液型:O型
活動:女優
お騒がせ女優として知られている石原真理さんは、玉置浩二さんと重婚騒動を起こしています。
石原真理さんと玉置浩二さんは過去に交際していたことが暴露本の「ふぞろいな秘密」で明らかになりましたが、その後によりを戻した2人は、2009年に婚姻届を提出します。しかし、この婚姻届は受理されることはありませんでした。
なんと、石原真理さんは前に結婚していたアメリカ人との離婚が成立していなかったとのことで、その婚姻届が受理されれば、重婚状態になってしまうというのです。
結局、石原真理さんと玉置浩二さんは結婚することなく、2009年9月には破局しました。
2.細川ふみえさん
細川ふみえ
生年月日:1971年9月2日
出身:青森県むつ市
身長:163cm
所属:ウエルメイド
血液型:O型
活動:元グラビアアイドル
細川ふみえさんは1990年代にグラビアアイドルとして人気を集めた人です。清楚な顔立ちと巨乳のアンバランスさが注目を集めました。
2007年に不動産会社を経営する男性とサイパンで結婚式を挙げますが、この時に「重婚じゃないの?」という疑惑が持ち上がります。
細川ふみえさんと結婚したこの男性は既婚者だったんです。のちに離婚は成立するものの、挙式をした時点では離婚はしていないなら、いくら、細川ふみえさんと入籍はしていなくても重婚に当たりますよね。
男性の離婚が成立した後、細川ふみえさんはこの男性と入籍し、出産しています。
3.鈴木尚広さん
出典:nikkei.com
鈴木尚広
生年月日:1978年4月27日
出身:福島県相馬市
身長:180cm
所属:元読売巨人軍
活動:元プロ野球選手、元コーチ
代走の切り札として、オールスターにも出場経験がある元ジャイアンツの鈴木尚広さんは、2019年は巨人の一軍外野守備走塁コーチを務めていました。それが突然、日本シリーズ直前の2019年10月16日に退団が発表されたんです。
出典:twitter.com
退団理由は、重婚を疑惑が報じられたからです。鈴木尚広さんは以前からDV疑惑などが報じられていましたが、不倫をしていて、さらにその女性と結婚式まで挙げていたことが週刊誌に掲載されたんです。
ばっちり証拠写真まで掲載されていて、言い逃れはできないということで、シーズン中、しかも日本シリーズの直前だったにも関わらず、突然一軍コーチを解任されたということだと思います。
4.麻木久仁子さん
麻木久仁子
生年月日:1962年11月12日
出身:東京都大田区
身長:159cm
所属:パールダッシュ
血液型:A型
活動:タレント
知性派タレントの麻木久仁子さんは、2006年に作曲家の松本晃彦氏と離婚しています。そして、その後にジャーナリストの山路徹氏と再婚しました。(2010年に離婚)
この山路徹氏との入籍時期については明らかにしていません。マスコミの報道によると、山路氏が大桃美代子さんとの離婚が成立していない時から再婚していたのではないか?つまり、重婚だったのではないか?と言われています。
入籍時期が明らかにされていないことから、重婚だったのかどうかはわかりませんが、時期的には重婚だったとしてもおかしくないほどの被り方になっています。
5.家舗さくら
出典:galapgs.com
家舗さくら
家舗さくらさんは、タレントのやしきたかじんさんの奥様です。やしきたかじんさんの3番目の奥様であり、亡くなる3ヶ月前に入籍しました。
この家舗さくらさんは、日本で知り合ったイタリア人男性と結婚していたことがあり、まだ離婚が成立していない状態で、やしきたかじんさんと入籍したのではないかとも言われています。
前の配偶者がイタリア人で国際結婚だったため、イタリアの法律で結婚して日本の法律で結婚していなかった場合、イタリアの法律で離婚が成立していなかったとしても、黙っていれば、日本でやしきたかじんさんと入籍することができますから、重婚は成立します。
やしきたかじんさんの妻ということで、彼の莫大な遺産を考えると、「遺産目当てで結婚したのでは?」とも言われています。
6.スカルノ大統領
スカルノ大統領
生年月日:1901年6月6日
出身:インドネシア
所属:インドネシア国民党
活動:政治家
インドネシア初代大統領であり、建国の父とも言われるスカルノ大統領は、デヴィ夫人と結婚したことで日本でも有名ですよね。デヴィ夫人はスカルノ大統領の第3夫人でした。つまり、重婚をしていたんです。
ただ、インドネシアはイスラム国家であり、重婚が認められていました。そのため、スカルノ大統領の重婚は何の問題もなかったことになります。
7.渋沢栄一さん
渋沢栄一
生年月日:1840年3月16日
出身:埼玉県深谷市
活動:実業家
次の一万円札の肖像画に決まった実業家の渋沢栄一氏も、重婚していたと言われています。
戸籍上の妻は2人(最初の妻は死別)だけですが、公に側室(愛人)を囲っていて、そのほかにも愛人がたくさんいた。そのため、子供は嫡出子は7人、認知していない子どもは20人以上、一説によると50人以上もいると言われています。
法律上は何の問題もありませんし、経済力もあったし、時代的なこともあると思いますが、若干引いてしまうのは私だけでしょうか。
8.オスマン・サンコンさん
オスマン・サンコン
生年月日:1949年3月11日
出身:ギニア
身長:162cm
所属:サンコンシステムズ
血液型:A型
活動:タレント
日本でタレントとして活動していたオスマン・サンコンさんの母国であるギニアでは、重婚が認められています。
2018年に日本人の歌手北山みつきさんと結婚することを発表しましたが、すでにオスマン・サンコンさんには2人の妻がいて、北山さんが日本人のままだと重婚になってしまうとのことで、日本国籍からギニア国籍になるための手続きを行っているとのことです。
重婚のまとめ
重婚の意味や日本における重婚の歴史、海外での重婚事情、重婚騒ぎの政治家や芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか?
・重婚をすると2年以下の懲役
・日本では昔は「側室」という形で事実上の重婚が行われていた
・海外では重婚を認めている国もある
・重婚騒ぎを起こした政治家や芸能人、有名人は結構いる