2007年に起こった龍野高校テニス部熱中症事故の被害者が栗岡梨沙さんです。事故の概要や栗岡梨沙さんの生い立ちと家族(親・家族)、彼氏の有無、テニス部顧問や校長の対応と裁判や現在をまとめました。
この記事の目次
栗岡梨沙は龍野高校テニス部熱中症事故の被害者
栗岡梨沙さんは2007年5月24日に兵庫県立龍野高校テニス部で起こった熱中症事故の被害者です。
高校2年生だった栗岡梨沙さんは、テニス部の練習中に熱中症で倒れて、心肺停止になりました。その後、一命は取り留めたものの、寝たきりの状態になり、ご両親がつきっきりの介護をするようになりました。
この龍野高校テニス部熱中症事故では、学校側の不誠実な対応があり、その後に熱中症事故の責任を巡ってご両親と栗岡梨沙さんが裁判を起こし、被害者側の勝訴となりました。
栗岡梨沙が死亡した龍野高校テニス部熱中症事故
出典:ktv.jp
熱中症事故が起こる
龍野高校テニス部熱中症事故は、2007年5月24日に兵庫県立龍野高校のテニス部練習中にテニス部員の女子高生が熱中症で倒れ、重篤な後遺症を負った事故です。
2007年5月24日、兵庫県立龍野高校は中間テスト最終日で、この日はテスト休みを挟んで11日ぶりに部活の練習が行われることになっていました。
テニス部の練習が始まったのは正午のこと。場所は高校から約1キロ離れた公営のテニスコートで行われました。
この日の最高気温は27度です。テニスコートの温度は高く、しかも11日ぶりの練習で、部員たちはテスト勉強で寝不足&疲労というコンディションでした。さらに、暑さに慣れていない状況で、練習は1日の中で一番暑い正午から15時までの3時間、休憩なしでぶっ続けで行われる予定でした。
娘の場合は、10日ぶりの練習で体力が落ちていて、しかも暑さに十分慣れていないにも関わらず3時間の練習の間まったく休憩がありませんでした。
テニス部キャプテンで当時高校2年生だった栗岡梨沙さんは、3時間の練習の最後に行われたランニング中に倒れて、救急搬送されます。最初は地元の栗原病院に運ばれましたが、重篤な状態だったため、兵庫県立姫路循環器センターに転送されました。
病院に搬送されるが後遺症が残る
栗岡梨沙さんが倒れたことをご両親に最初に知らせたのは、学校ではなく同級生だったとのこと。
ただ、ご両親は栗岡梨沙さんは朝学校に行く時点では元気だったし、持病もなかったことから、貧血程度かなと思っていましたが、姫路循環器センターに到着すると、心肺停止で深刻な状態だったことが判明します。
栗岡梨沙さんは16年前、高校2年生だった時テニス部の練習中に熱中症で倒れ、一時心停止となった。
引用:熱中症の後遺症は「脳へのダメージ」そして“腎臓”へのダメージ 専門医「筋肉が少ない人は熱中症になりやすい」|FNNプライムオンライン
栗岡梨沙さんは奇跡的に一命をとりとめたものの、低酸素脳症になり、集中治療室に4ヶ月間入院し、その後2年間で4つの病院で治療を受けましたが、重篤な後遺症が残りました。
栗岡梨沙さんは脳が萎縮し、耳は聞こえるけれど目は見えず、寝たきりの状態で、24時間の介護が必要な状態になってしまいました。
栗岡梨沙の家族(親・兄弟)や生い立ち
栗岡梨沙さんが熱中症で倒れた後、ご両親が必死に看病・介護しています。
・母親:栗岡弘美さん
出典:ktv.jp
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ご両親は栗岡梨沙さんと共に表に立って裁判をしたり、マスコミの取材を受けていますが、栗岡梨沙さんに兄弟がいるかどうかは不明です。
ご両親は現在でも娘の栗岡梨沙さんの介護をご両親が自宅で行っていますし、学校での事故を防ぐための啓もう活動を行っています。
英語が好きな女子高生
栗岡梨沙さんの生い立ちの詳細は分かっていませんが、英語が好きで友達からの人望が厚かったことはわかっています。
龍野高校の偏差値は59~66ですから、栗岡梨沙さんは勉強ができる優等生タイプだったのでしょう。ご両親が新聞の取材で語ったところによると、「英語が好きで、将来は客室乗務員を目指していた。」とのことです。
また、高校2年生で硬式テニス部のキャプテンをしていました。ということは、運動神経も良くて、友達からも好かれて人望も厚いタイプだったと推測できます。
裁判のための証言集めにも、梨沙さんの同級生が協力してくれたとご両親が話していました。
「当時の練習は私たちしか分からないからキャプテン(梨沙さん)のために協力する」とお話ししてくださいました。
同級生が積極的に協力するというのは、それだけ梨沙さんの人望が厚かったという証拠ですよね。
勉強ができて英語が好き、しかも写真を見ると美人タイプで、テニス部のキャプテン。将来はCA(客室乗務員)を目指していた女子高生が寝たきりで意思疎通も難しくなる状態になるなんて、熱中症の恐ろしさを痛感せずにはいられません。
栗岡梨沙に彼氏はいた?
出典:samsara.link
栗岡梨沙さんに彼氏がいたかどうかは不明です。
ただ、写真を見ると、めちゃくちゃかわいいですし、女子テニス部のキャプテンですから、彼氏がいてもおかしくはないですよね。龍野高校は男女共学ですから、高校の中に彼氏がいたのかもしれません。
栗岡梨沙はテニス部顧問に厳しく指導されていた
出典:youtube.com
顧問がいない状態で事故が起こる
栗岡梨沙さんが熱中症で倒れたのは、硬式テニス部の練習中です。しかし、この時には顧問の教員はその現場にいませんでした。
この日、テニス部の練習は正午から15時までの3時間が予定されていましたが、顧問の教員は出張のため練習開始から約30分いただけで現場を離れ、その後はキャプテンである栗岡梨沙さんが顧問の指示通りに練習を進めていたのです。
テニス部顧問が練習メニューを押し付けていた
ご両親は最初、学校側からはテニス部の練習メニューはキャプテンである栗岡梨沙さんが考えたものであると説明されました。しかし、実際はテニス部の顧問が考えて作成したものであることが分かったんです。
しかも、練習メニューはテニス部顧問が考案していたとわかったのは、学校の調査からではなく、梨沙さんの友達からの告発です。
「違う、キャプテン(梨沙さん)は毎日職員室に呼ばれて、顧問の先生に厳しく指導されて、詳細に記入された練習メニューを渡されて、逆らうことなんてできなかった」と教えてくれました。
しかも、テニス部顧問には逆らうことができず、この日の練習メニューは十分な休憩時間がとられていなかったことなどがあり、テニス部顧問の管理責任が問われる形になっています。
裁判では栗岡梨沙が考えていると嘘を言った
学校側は、テニス部の練習メニューはキャプテンの栗岡梨沙さんが考えていると主張しましたが、部員の証言により、顧問の教員が練習を考えていることが判明しました。
顧問の教員はその事実を一度は認めていたものの、裁判ではそれを認めませんでした。
顧問教諭は「当日の練習内容について、私が紙に書いてキャプテンに指示した」と認められていましたが、裁判では「練習内容について指示したかどうかはわからない」変遷されました。
これはテニス部顧問が自らの意思で証言を変えたのか、それとも校長や教育委員会、行政の指示でそのようにしたのかは不明です。
ただ、栗岡梨沙さんとご両親にとっては、裏切られたような気持ちになりますよね。
栗岡梨沙の親は事故後に校長からモンペ扱い&デマを流される
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栗岡梨沙さんとご両親は龍野高校側、特に当時の校長への不信感を抱き、その結果として裁判を起こすことになりました。
校長は梨沙さんとご両親にどのような対応をしたのでしょうか。
校長は嘘を報告
栗岡梨沙さんが救急搬送をされた翌日、校長は病院を訪れました。ただ、この時は9時から9時30分までの30分だけ無言で病院にいて、その後は「所用があるので帰ります」と言って帰っていきました。
しかし、兵庫県への業務報告書(復命書)には8時半から5時まで病院でご家族を励まし続けたと記載していたのです。完全な虚偽報告ですよね。しかも、復命書ですから、「出張扱い」となれば出張費などが校長に支給される可能性もあります。
なぜ、このような虚偽報告をしたのか本当にわかりません。
病院に来ない
校長は、栗岡梨沙さんとご両親に対して、さらにひどい対応をしました。
事故から2ヶ月ほどたった時、ご両親は事故の原因究明や今後の対策などを尋ねるために、校長に会いたい旨を病院に来ていた顧問や教頭に何度も伝えました。しかし、校長からは「私が行かなくてはいけない問題ですか?」と言われてしまったのです。
ちなみに、校長先生は事故直後に1~2回、病院に来ただけで、その後2ヶ月間は1度も病院に来なかったとのこと。
この対応は、責任が学校側にあるかどうかなんて関係なく、被害者の栗岡梨沙さんが在籍している学校長として、人としてどうなのかと思ってしまいます。
「お金のため」というデマを流される
龍野高校の校長は、栗岡梨沙さんのご両親をモンスターペアレンツ扱いするようになりました。
ご両親が「校長に会いたい」と言った時に、校長が「私が行かなくてはいけない問題ですか?」と答えました。ご両親はこのまさかの返答に驚いたために、「メモを取らせてください」と確認しました。すると、校長は「お父さん、おかしいよ」と怒鳴り出したのです。
なぜ、校長はいきなり怒鳴りだし、ご両親をモンスターペアレンツ扱いするようになったのでしょうか。やはり、後ろめたいことがあったのかもしれません。
その後、校長は梨沙さんのご両親が金銭要求をしているというデマを流しました。
「高校のPTAの役員の前で校長先生が梨沙さんは病気で倒れた。しかし親は非常に難しい人で学校に現金を要求したりして、学校を困らせている」
もちろん、ご両親は金銭的な要求はしていないので、この校長の言葉は完全にデマになります。梨沙さんが集中治療室に入っていて生死の境をさまよっている状態で、「お金のために学校を困らせる」なんて、絶対にありえないません。
ご両親は梨沙さんが熱中症で倒れて後遺症が残るという苦しみだけでなく、校長から誹謗中傷を受けるという苦しみも味わうことになりました。
事故調査をしていないと断言
校長先生は栗岡梨沙さんとご両親に一切謝罪しませんでした。それどころか、裁判では次のように述べたのです。
「道義的責任で謝罪しても、それが法的責任にすり替えられる。法的責任を認めたならば金銭の要求につながると思った。だから私は一切謝罪しなかった」と言いました。「事故調査はしていない。原因究明が再発防止になるとは思わない」ともはっきり言いましたね
「法的な責任を認めたら、金銭の要求につながる。だから謝罪しない」という考え方。あまりにも貧相で心が貧しい考え方ですよね。責任を認めたら金銭要求があると決めつけるのもおかしいし、責任があるなら「損害賠償」として金銭を支払うのは当然のことです。
さらに、「事故調査をしていないし、原因究明をしても再発防止にならない」と言い切ってしまうのも・・・。この龍野高校の校長は本当に教育者なのでしょうか。
栗岡梨沙は龍野高校の卒業式参加を拒否された
出典:nhk.jp
栗岡梨沙さんは熱中症事故で長期入院を余儀なくされたため、龍野高校を休学しています。決して退学はしていません。事故から約10年経った2016年時点でも、まだ休学扱いで学籍は龍野高校にあるそうです。
つまり、栗岡梨沙さんは龍野高校の学生ということになります。
それなのに、栗岡梨沙さんは同級生の卒業式への参加を学校側から拒否されたのです。
卒業式には参加して良いのかと聞いたら、「休学中は学校の敷地内に一歩たりとも入ってもらっては困る」と言われました。
ご両親は卒業式に招待してもらえるものと思っていたのに、連絡すらない。自分から学校に問い合わせたら、「一歩たりとも入ってきてもらっては困る」と言われてしまったのです。「どうしても来たいなら、元気になったという証明書を出せ」と学校側は伝えてきました。
龍野高校側は栗岡梨沙さんとご両親の心の傷をどんどん抉ってくるような対応をしていますよね。
栗岡梨沙の龍野高校テニス部熱中症事故の裁判
出典:fnn.jp
栗岡梨沙さんとご両親は事故から3年経った2010年に学校側が安全配慮義務を怠ったとして、兵庫県を相手に裁判を起こしました。
ただ、ご両親は学校側が誠実な対応をしてくれていたら、裁判は起こさなかったと話しています。
これが「娘さんがこういうことになったことについて、学校としてもできることをさせてもらいます」と誠実な対応をしてくれていたら裁判は起こさなかったと思います。
いかに龍野高校の対応がひどかったかのかがわかりますね。
第一審では梨沙さんの心肺停止は熱中症が原因とはいえないとして、梨沙さんとご両親の敗訴となりましたが、第二審では学校側の責任が認められて兵庫県に梨沙さんとご両親に2億3000万円の支払いが命じられました。
兵庫県は上告しましたが、上告棄却となり、梨沙さんとご両親の勝訴となっています。
栗岡梨沙の現在
出典:fnn.jp
栗岡梨沙さんは2024年で33歳になりますが、現在も24時間介護が必要な状態で、自宅でご両親に介護してもらいながら生活しています。
現在の栗岡梨沙さんはこのような状態とのことです。
・低酸素脳症で脳が萎縮している
・耳は聞こえる
・目は見えない
・言葉を話すことはできない
・手足は動かせない
・コミュニケーションは難しい部分がある
・笑顔を見せることはある
・リクライニング車椅子に乗り外出することは可能(全介助)
・胃ろうを造設している
・ヨーグルトやプリンは口から食べることができる
このような状態であることと梨沙さんとご両親は隠すことなく、マスコミの取材に対応していて、熱中症や学校事故の防止を訴えています。
栗岡梨沙と龍野高校テニス部熱中症事故のまとめ
龍野高校テニス部熱中症事故の概要や被害者の栗岡梨沙さんの生い立ちや家族(親・兄弟)、彼氏の有無や事故後の顧問や校長の対応、裁判の判決や現在をまとめました。
もう二度とこのような悲しい事故が起こらないことを祈ると共に、栗岡梨沙さんとご両親が心穏やかに過ごされることを願います。