「御殿場事件」とは

「御殿場事件」とは、静岡県御殿場市の御殿場駅近くで2001年9月に発生したとされる事件です。

被害者とされる当時15歳の少女により集団強姦未遂が主張されたことから、「御殿場少女強姦未遂事件」、「冤罪御殿場少年事件」とも呼ばれています。

被害者・井上さゆりの証言により発覚した「御殿場事件」の当初の概要

「御殿場事件」の被害者となったのは、当時15歳だった井上さゆりさんです。彼女は2001年9月16日、いつもより遅い午後11時過ぎに帰宅しました。

その際、母親になぜ遅くなったのか聞かれた井上さゆりさんは、次のように打ち明けたのです。

驚いた母親は、すぐさま静岡県警御殿場警察署に被害届を提出したことで発覚したのが、「御殿場事件」なんですよね。

井上さゆりさんの当初の主張は、次のようなショッキングなものでした。

「2001年9月16日」の午後8時頃、部活動から帰宅中の少女が、中学時代の同級生（被告人少年ら）に無理矢理手首をつかまれ御殿場駅から公園まで連行された。公園内で1時間ほど話をした後、被告人少年ら（10人）に強姦されたとした。

 

引用：御殿場事件 – Wikipedia　https://ja.wikipedia.org/

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その後、地元でも札付きの不良として知られていた少年10人が逮捕されました。

ちなみに、井上さゆりさんとその少年らは、中学校時代の同級生ではあるものの、直接的な関係は一切なく、あえて言えば同じ御殿場市内に住んでいたことくらいだったそうです。

また、この事件が報じられた当時は、被害者も犯人とされた少年らもともに未成年であったことから、実名報道はされず、顔写真なども一切公開されませんでした。

「御殿場事件」の真相①　被害者・井上さゆりの嘘による冤罪事件？

被害者・井上さゆりの証言が法廷で二転三転

こうして「御殿場事件」は解決したかに見えたのですが、その後の公判の中で井上さゆりさんの証言には矛盾点が多いことが次第に明らかになっていきました。

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そして、その点を追及されると、井上さゆりさんは証言を二転三転していくことに…。しかし、それでも井上さゆりさんは、頑として主張を取り下げることはしませんでした。

そんな中、警察の取り調べにより得られた少年らの自供は、警察に強要されたもので、少年らには事件当日にアリバイがあったことが次々と明らかになっていくんですよね。

しかし検察側は、それらのアリバイは全て捏造されたものであり、証拠としては不十分だと主張し続けたのです。

コンビニの店員が井上さゆりの証言を否定

井上さゆりさんが少年らに襲われた際、必死に助けを求めて公園近くのコンビニに駆け込み、その中から親に電話をかけたと証言しました。

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しかし、事件当時そのコンビニに勤務していた店員は、井上さゆりさんについて「そんな人は見てない」「電話をかけている人すらいなかった」と証言。

その瞬間、傍聴席は大きくザワついたと言います。

ただ、このコンビニ店員の証言についても、検察側は「コンビニ店員と少年らが口裏を合わせているに過ぎない」と、信頼しうる証拠には値しないと吐き捨てました。

9月16日にデートをしていた男性の証言により井上さゆりの嘘が発覚

その後、井上さゆりさんが事件発生時刻に、出会い系サイトで知り合った男性と富士駅で会っていたことが判明するんですよね。

そして、実際にその相手の男性も裁判に出廷し、井上さゆりさんと少なくとも3時間は一緒に遊んでいたことを証言したのです。

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さらにその際、井上さゆりさんはその男性に、「親に帰宅が遅くなった理由を問い詰められたら誰かのせいにするつもり」などと言っていた、との話まで飛び出すことに…。

これにより、「御殿場事件」発覚のきっかけとなった、「襲われた」との井上さゆりさんの証言が、帰宅が遅くなったことを母親にごまかすためについた嘘である可能性が浮上したのです。

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それでも、当初井上さゆりさんは、裁判で証言した出会い系サイトの男性について、「そんな人は知りません」と否定していたそうです。

しかし、間もなく彼女の携帯電話に、その男性の電話番号へ発信していた履歴が残っていたことが判明することに…。

被害者・井上さゆり、少年らのアリバイが成立すると事件日を変更

その事実を突きつけられた途端、井上さゆりさんは泣きながら、搾り出すように次のように謝罪したと言います。

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これで一件落着…とはならず、なんと井上さゆりさんは、少年らに乱暴されたのは9月16日ではなく、その1週間前の9月9日だった…と主張を変えたんですよね。

さらに、主張を変えたのは犯行日だけではありませんでした。無理やり公園に連れていかれたのではなく、自分でついて行ったと。

そして犯行当時は生理中だったため、強姦ではなく強姦未遂だったと、事件の根本とも言える部分まで変えてしまったのです。

これにより、少年たちの自供内容が被害者である井上さゆりさんの証言と矛盾していることになり、少年らが主張する「自供は警察に強要されたもの」との主張が通ったと思いきや…。

高橋祥子裁判長は、あろうことか「被害者が口止めされていて恐怖で言い出せなかったに違いない！」などとして、井上さゆりさんの証言を支持したのです。

もし百歩譲って井上さゆりさんの証言が事実とすると、彼女は強姦未遂という危険な目に遭った1週間後、出会い系サイトで知り合った見ず知らずの男性と遊んでいたことになるんですよね。

これにより、「御殿場事件」の冤罪説が一気に加速したことは言うまでもありません。

「御殿場事件」の真相②　事件日の変更により浮上した新たな矛盾点

井上さゆりさんが、第3回公判の中で、事件発生日を9月16日から9月9日に変更したことにより、いくつかの新たな矛盾点が浮上することになりました。

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被害者・井上さゆりの証言の矛盾点①　雨は降っていなかった

事件発生日が9月9日に変わったことで、まず浮上したのが天候の矛盾でした。

と言うのも、井上さゆりさんは犯行現場では雨は降っていなかったと当初証言していましたが、9月9日は接近していた台風15号の影響で、大雨・洪水注意報が出るほど悪天候でした。

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当日、御殿場市内では、1日に45ミリ以上の降雨が記録されており、事件現場の公園近くの観測所でも、事件当時1時間に3ミリの降雨が観測されていたのです。

さらに、当初井上さゆりさんは「芝生の上に押し倒された」と供述していたのですが、事件当時は服が濡れていた様子は無かったと言います。

が、しかし！それでも検察は、事件現場から約700メートル離れた市役所などでは、降水量が0ミリだったとして、あくまで彼女の証言は間違っていないと主張しました。

被害者・井上さゆりの証言の矛盾点②　

当初、事件発生日が9月16日とされていた段階では、犯人とされる少年らは、「公園の東屋に張られていた立ち入り禁止のロープの横で犯行に及んだ」と供述していました。

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しかし、その後、御殿場市の工事業者に確認したところ、9月9日の時点ではまだロープを張っていなかったことが判明するんですよね。

被告人らによる16日犯行とされる捜査初期の全員の供述書では、犯行場所の公園内東屋には進入禁止ロープが張られており、横の芝生上で犯行が行われたとされている。しかし、9日犯行とされた控訴審においては、東屋のロープは9日には設置されていなかったことが御殿場市・工事業者により確認されており、供述調書と訴因に矛盾があり、また、所轄署の取調官らによる自白の誘導を疑っている。

 

引用：Wikipedia｜御殿場事件　https://ja.wikipedia.org/

この矛盾点により、逮捕後の取り調べの中で得られた少年らの供述が、警察に都合のよいものに誘導されたものである可能性が高くなったわけです。

「御殿場事件」のその後①　冤罪の声が高まる中で加害者少年に実刑判決

井上さゆりさんが事件の根本的な部分の証言を変えたことにより、これらの明らかな矛盾点が浮上した「御殿場事件」。

少年らの弁護士は、この「御殿場事件」そのものが、井上さゆりさんの虚偽証言による架空の事件であることが証明されたと無実を訴えました。

しかし、この弁護側の主張は認められることはなく、2007年8月22日の控訴審判決公判において、主犯格とされる4人の少年に、懲役1年6ヶ月の実刑判決が下されたのです。

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もちろん少年らはその日のうちに上告しましたが、2009年4月13日には上告が棄却され、先の判決が確定し、その後、4人の少年らは川越少年刑務所に収監されました。

また、当時高校1年生だった4人は少年院送致、残りの高校生1人は裁判所の調査官が生活態度を相当期間観察して様子を見る試験観察、中学3年生1人は保護観察の処分が命じられました。

このとんでもない司法判断は、当時大変な話題になるとともに、テレビ各局は連日のように「御殿場事件」を取り上げ、独自取材に基づく検証ドキュメンタリー番組なども制作されました。

「御殿場事件」のその後②　井上さゆりの家族は？弟が自ら命を断ったとの噂も

「御殿場事件」がマスコミで盛んに取り上げられると、たちまち井上さゆりさんの家族は地元で村八分状態になり、追われるように町を出て行ったとも、家族は離散したとも言われています。

出典：https://www.excite.co.jp/

また、井上さゆりさんにいたとされる弟が学校でいじめに遭っていた可能性も指摘されており、その後、その弟は姉が起こした「御殿場事件」により自ら命を断ったとの噂も存在しています。

ただ、この点については情報の出所が激しく不明であり、井上さゆりさんに怒りを覚えた一部のネットユーザーが流したデマの可能性も指摘されています。

「御殿場事件」の現在①　被害者・井上さゆりの消息は不明

「御殿場事件」を知れば知るほど、井上さゆりさんの嘘から始まった冤罪事件の可能性が非常に高く、事件後、特にネットを中心に、井上さゆりさんの消息を追及する動きが活発化しました。

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しかし、それにも関わらず、その後の井上さゆりさんの消息はようとして知れず、現在どこで、どのような生活を送っているのかは全く分かっていないようです。

それというのも、井上さゆりさんは当時未成年であり、強姦未遂という事件の性質上、井上さゆりさんの顔写真などは一切公開されなかったからと言われています。

ただ、それでも卒アルなどから顔写真が流出するのがネットの常です。

ですが、それでもその後の情報が一切出てこないところを見ると、事件後は知れ渡ってしまった名前だけでなく、顔も変えているのでは？との噂まで囁かれているようです。

「御殿場事件」の現在②　加害者少年4人は冤罪を訴え続けている

そんなコメントを残して、川越少年刑務所に収監された、「御殿場事件」の主犯格とされた4人の加害者少年たちですが、もちろん服役中も家族とともに無実を訴え続けていました。

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そのため反省の色がないと見られたのか、ちゃんとした身元引受人がいるにも関わらず、仮出所は一切認められることなく、2010年に刑期満了で出所しています。

事件当時は少年A・B・C・Dとされていましたが、現在は本名を公表し、「御殿場事件」を長年取材してきた長野智子さんの報道ドキュメンタリー番組に出演して当時話題になりました。

もちろん彼らは、事件発生から約20年になろうとする今現在でも、無実を訴え続けています。

少年らの中には、実刑判決を受けたことで通っていた高校の中退を余儀なくされたり、出所後も望んだ仕事につけないなど、多大な不利益を被っているようです。

そして、2011年12月に井上さゆりさんに対して2,000万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。

しかし、2013年3月、裁判所により訴えを棄却されたそうです…。

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冤罪事件「御殿場事件」を現在に問題提議したドラマ「99.9」が話題に！

2018年2月11日に放送された、嵐の松本潤さん主演のドラマ「99.9 -刑事専門弁護士- SEASONⅡ」の第5話が、「御殿場事件に似ている」と話題になり、17％の高視聴率を記録しました。

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「今回の第5話は、女子高生が被害者の暴行事件を描いたもの。ドラマでは容疑者として起訴された少年が無罪を主張しており、女子高生は事件当日に出会い目的のサイトを通じて男性と会っていました。そして検察側は訴因を強引に変更し、公判中には事件当日の天候が問題とされました。これらの要素がすべて、静岡県で2001年に発生した『御殿場事件』にそっくりだと話題になっているのです」（テレビ誌記者）

 

引用：アサ芸プラス-松本潤「99.9」が“実際の事件をモチーフ”で長野智子キャスターが驚愕！　https://www.asagei.com/

ドラマはあくまでフィクションであることから、犯人とされた少年らは最終的には無罪を勝ち取るのですが、このドラマをきっかけに「御殿場事件」を知った人も少なくなかったようです。

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実際、この「99.9」の第5話の放送終了後には、大手検索サイトでは「御殿場事件」が検索キーワードの1位になり、この放送を見た視聴者から次のような声が相次いだと言います。

長年「御殿場事件」を取材してきた長野智子も異例の反応

先ほどもチラっと触れましたが、長野智子さんは、この「御殿場事件」ついて10年以上に渡って取材を続けきました。

出典：https://thetv.jp/

ただ、ドラマ「99.9」は長野智子さん自身がキャスターである情報番組「サンデーステーション」の裏番組で、この事件を良く知る者の間で長野智子さんの反応が注目されていたようです。

長野智子さんは結局、ドラマ「99.9」の放送終了を待って、ツイッターで次のような反応を示しています。

細部はともかく、今夜の99.9は明らかに御殿場事件をモチーフに描いてますね。改めて多くの人に、いかにこの裁判がありえないものだったのか知って頂けるのは嬉しい。。

— 長野智子 (@nagano_t) February 11, 2018

また、長野智子さんの取材によれば、犯人とされた少年らは確かに、事件当時は札付きの不良として知られた存在ではあったものの、別件の事件を起こしている事実は一切なかったそうです。

ちなみに御殿場事件で、別件の事件に関わった少年はいません。念のため。つまりドラマでもこうしたフィクションにしないと決着しないほどの意味不明な裁判だったということです。#御殿場事件

— 長野智子 (@nagano_t) February 11, 2018

出典：https://ameblo.jp/

「御殿場事件」に対するネットの声は？

最後に、「御殿場事件」に対するネットの声を集めてみました。

今夜の「９９・９刑事専門弁護士２」（ＴＢＳ）第５話はなかなかの力作だった。「御殿場事件」を想起させる少年冤罪をテーマにしたストーリー。起訴事実と被害者証言が覆されると、平然と訴因変更する検察官と、それを認めて有罪をでっち上げようとする裁判官。司法のクズっぷりを見事にドラマ化した。

— IKEZOE_Noriaki (@ookaminami) February 11, 2018

今日の裁判で無罪を言い渡されるシーンは　
御殿場事件の現実の冤罪被害者が何度も夢に見た場面なのかもしれないと思うと😢 #日曜劇場999 #刑事専門弁護士 #松本潤

— まち　永遠のニシパ (@4aV5FVnjW0mm6KH) February 11, 2018

「女性が被害をでっち上げることは考えがたい」　このフレーズは、冤罪事件と思われる御殿場事件でも耳にしました。男性に対する重大な人権侵害と思います。痴漢事件にも、多数冤罪があると思います。

— lezey (@lezeybridge) March 29, 2019

ドラマの通り、被告に犯行日時のアリバイがあったら、何と犯行日時を変える訴因変更をしたのが「御殿場事件」。勿論、このドラマでは冤罪で被告は勝つのだろうが、現実の世界には正義のヒーローもいないし、裁判所は雨も認めず、御殿場事件では全員有罪になったのだ。それがこの国の現実という事だ。

— 日本国黄帝 (@nihon_koutei) February 11, 2018

今日の99.9 刑事専門弁護士IIは、完全に御殿場事件の冤罪を、良心で作ってくれている。長野智子は見ているだろうか?　高橋祥子、旧姓井上さゆりにはこれを見て、少しでも良心があるなら、ちゃんと真実を話してほしい。

— とっぷりむ　ささやん (@toprimbotomrim) February 11, 2018

まとめ

いかがでしたでしょうか。

冤罪の可能性が極めて高いと言われ、公判中に訴因変更を認めるという裁判の異常性が問題視された2001年9月に起きた「御殿場事件」。

今回は、この「御殿場事件」の加害者少年らの供述内容と、被害者・井上さゆりさんの二転三転する証言から事件の真相に迫るとともに、冤罪の可能性などその後と現在をまとめてみました。

事件当時、15歳という精神的に未熟な少女だった井上さゆりさん。

出典：https://www.youtube.com/

結局のところは、親に叱られたくなくてついた軽い嘘が、思わぬ大事になってしまい、嘘に嘘を塗り重ねていくうちに、取り返しのつかない状況に陥ってしまった…という感じでしょうか。

その場凌ぎの嘘に嘘を塗り重ねてしまうことは、誰しも経験することなので、その意味では同情する余地もあります。

ですが、それによって人生を狂わされてしまった少年たちを思えば、到底許されることではありません。

その意味では、「御殿場事件」の最大の問題は、井上さゆりさんの訴因変更を認めてしまったこの人だと思うのですが、いかがでしょうか？

出典：https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/