映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士のモデルの1人と言われる、ヘンリー・リー・ルーカスが話題です。
今回はヘンリー・リー・ルーカスが一生で殺害した人数、家族と生い立ち、起こした事件と晩年、死因を紹介します。
この記事の目次
ヘンリー・リー・ルーカスは「レクター博士」のモデルになった人物
1990年に公開されるやたちまち大ヒットを記録し、現在も映画史に残る名作と言われる「羊たちの沈黙」。
この中で、名優、アンソニー・ホプキンスが怪演し、世界中を恐怖のどん底に叩き落とした「ハンニバル・レクター博士」。
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もちろん架空の人物なのですが、この残虐極まりない猟奇的なシリアル・キラーは、実在する人物がモデルになっていることをご存知ですか?
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今回、そんな「ハンニバル・レクター博士」のモデルの1人で、なんと全米17州で300人以上を殺害したとも言われる、世界的に著名なヘンリー・リー・ルーカスについてまとめてみます。
ヘンリー・リー・ルーカスのプロフィール
プロフィール
・名前: ヘンリー・リー・ルーカス
・英語表記: Henry Lee Lucas
・別名: The Confession Killer
・生年月日: 1936年8月23日
・出身地: アメリカ合衆国 バージニア州
・没年月日: 2001年3月13日
・死没地: アメリカ合衆国 テキサス州 ウィリアムソン郡 ジョージタウン刑務所
・死因: 心臓発作
・判決: 殺人罪
ヘンリー・リー・ルーカスが一生のうちに殺害した人数とは?
数あるシリアル・キラーの中でも、犯した殺人事件における残虐性と人間的な良心の欠如っぷりは、他の追随を許さなかったと言われるヘンリー・リー・ルーカス。
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彼が殺人を重ねていた時期は、1960年から1983年の間と推測されていますが、ヘンリー・リー・ルーカスが一生のうちに殺害した確かな人数は明らかになっていません。
実際に殺人罪で起訴されている被害者の人数は11人ですが、一般的に考えられている推定殺人人数は300人以上とも言われています。
ちなみに、ヘンリー・リー・ルーカス本人は、3,000人以上殺害したと自供していたようですが、彼には虚言癖があったとされるため、この数字は根拠が薄いと言われています。
いずれにしても、常識的には考えられない数の人間が、彼の手にかけられたことになります。
「殺人は息をするのと同じだった。」
後に、ヘンリー・リー・ルーカスは、彼の精神鑑定を担当した精神分析医に、平然とこう呟いたと言います。
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では、ヘンリー・リー・ルーカスが、なぜこのような残虐な殺人を息をするように重ねたのか?
世に“殺人鬼”と呼ばれる犯罪者の多くは、育てられた家庭環境に問題があったことがよく指摘されます。
そして、ヘンリー・リー・ルーカスの家庭の異常さは、その中でも常軌を逸していると言われるほど最悪なものだったようです。
次では、そんなヘンリー・リー・ルーカスの家族関係からくる壮絶な生い立ちから、詳しく見ていくことにしましょう。
ヘンリー・リー・ルーカスの常軌を逸した異常な家族関係と生い立ち
母親の異常性と幼少期から受け続けた執拗な虐待
ヘンリー・リー・ルーカスの母親・ヴィオラは、アイルランド系インディアンの血を引く女性で、重度のサディストでありマゾヒストでもあったようです。
そして彼女は、倒錯した異常なプレイを売りにした売春婦でした。
「娘が生まれてくれば母娘で売春ができる」と、女児が生まれてくることを期待していたヴィオラでしたが、生まれてきたヘンリーが男児だったことに失望。
息子に「ヘンリエッタ」と名付けて女装させたり、意味もなく殴りつけたり、客との行為を見せつけたりと、幼少期から執拗な肉体的・性的虐待を繰り返していたようです。
また、それだけでなく、次のようにヘンリーを罵倒し続けたと言います。
「お前は死ぬまで私の奴隷」
「あんたは悪魔から生まれた生き物なのだから、当然あんたは悪魔なのだ。腐ったろくでなしとして生きてもらう」
「あんたはこの世に地獄をもたらすために生まれてきた」
後に、ヘンリー・リー・ルーカスは、母親・ヴィオラに対して次のように述懐しています。
「おふくろはオレが何かを愛するという感情を抱くことに我慢がならなかった」
「彼女は完全な狂人だった」
ヘンリー・リー・ルーカスが起こした事件① 初めての殺人事件
日々、母親から執拗な虐待を受け続けたヘンリー・リー・ルーカスは、いつしか女性への意識を大きく歪ませていき、特に女性との行為に激しい憎悪を抱くようになっていったと言います。
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そんなある日、ヘンリー・リー・ルーカスは、バス停でバスを待つ17歳の少女を衝動的にレイプし、そのまま絞殺してしまうんですよね。
これがヘンリー・リー・ルーカスが起こした初めての殺人事件で、当時、ヘンリーは14歳でした。
その後もヘンリーは、様々な犯罪を犯しては刑務所に入る…という生活をただただ繰り返していたと言います。
ヘンリー・リー・ルーカスが起こした事件② 遂に母親を殺害
そんなヘンリー・リー・ルーカスに転機が訪れたのは23歳の頃でした。義姉の元に身を寄せたヘンリーは、彼女と恋に落ちたのです。
彼女とは結婚の約束もし、生まれて初めて真面目に働こうと決心したヘンリーでしたが、そんな2人の元に現れたのが…母親・ヴィオラだったんですよね。
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ヴィオラが口汚く罵ったことで、彼女はヘンリーの元を去ってしまい、ヘンリーは再び独りぼっちに…。
そんな母親の所業に遂に我慢の限界を越えたヘンリーは、発作的に母親・ヴィオラを絞殺。さらに、まるでそれが儀式でもあるかのように、母親の喉元をナイフで切り裂いたのです。
白昼堂々の犯行はすぐに露見し、ヘンリー・リー・ルーカスは第二級謀殺の罪で40年の刑を宣告されることになります。
ヘンリー・リー・ルーカスの入獄後の様子と釈放された理由
ヘンリー・リー・ルーカスは刑務所に収監された後も、母・ヴィオラの亡霊に悩まされ続け、それから逃れるために何度も自殺未遂を繰り返したと言います。
そんなヘンリーに精神分析医が下した診断は、精神分裂病でした。
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しかし、刑務所に収監されて10年後、獄中で電気技師の資格を取得し、大学レベルの教育プログラムを終了したことが評価されたヘンリー・リー・ルーカスは、釈放されているんですよね。
仮釈放を望んでいなかったヘンリーが、仮釈放審査の面談で「釈放されたら、自分は必ず人を殺す」と明言していたにも関わらずです。
審査した委員はジョークと受け取ったようですが、ヘンリー・リー・ルーカスはその言葉通り、刑務所の門をくぐってわずか数ブロック先で女性を絞殺し、金品を強奪して逃走しています。
当時、ヘンリーは34歳でした。
この後、ヘンリー・リー・ルーカスは、老若男女を問わず手当たり次第に、まさに息をするように殺人を重ねていくことになります。
ヘンリー・リー・ルーカスが獄中で過ごした晩年と死因について
遂に逮捕され3,000件の殺人を自供したヘンリー・リー・ルーカス
その後、数え切れないほどの殺人を繰り返したヘンリー・リー・ルーカスは、遂に逮捕されました。
ヘンリーの車からは大量の人骨が見つかり、驚く警察官にヘンリーは約3,000件にも及ぶ殺人を自供するんですよね。
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また、後に収容された拘置所の独房内でキリスト教に目覚めたヘンリー・リー・ルーカスは、それまでの罪を進んで自白するようになったと言います。
精神的にも脳にも異常が認められたヘンリー・リー・ルーカスに死刑判決が下される
心理学者であるノエル・ジョリスは、そんなヘンリー・リー・ルーカスについて次のように分析しています。
「彼は感情的にも社会的にも10歳未満ですでに死んだ人間なのです。この独房で彼がいくらか人間的な発達を見せたとしてもそれが完全になることはないでしょう。彼にはもはや他人への感情移入というものが決定的に失われてしまっていて、それが回復する見込みはありません」
幼いころの母ヴィオラの折檻で、ヘンリーは前頭葉、側頭葉、脳下部にまで大きな障害が残されており、慢性的な栄養失調とドラッグで脳は正常な成長をずっと阻害されていた。
精神的にも大脳生理学的にもヘンリーは通常の人間とは言い難かった。
引用:ヘンリー・リー・ルーカス(ドクターレクターのモデルとなった男) https://www.alphapolis.co.jp/
しかしテキサス州裁判所は、ヘンリー・リー・ルーカスに死刑を言い渡しました。
死刑は1998年に執行されるはずでしたが、当時のテキサス州知事を務めていたジョージ・W・ブッシュが、証拠不十分を理由に死刑執行を延期しています。
FBIに捜査協力していた晩年とヘンリー・リー・ルーカスの死因について
その後、シリアル・キラーの典型例として、ヘンリー・リー・ルーカスは死刑囚でありながら、FBIの捜査に協力するようになるんですよね。
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このFBIへの協力の事実が、ヘンリー・リー・ルーカスを映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士のモデルにしたわけです。
ただ、実際には、映画のような天才的な推理力で犯人逮捕に協力していたわけではなかったようです。
ただ単に、精神異常者がどのような思考をするか、意見を求められていたに過ぎなかったのだとか。
ヘンリー・リー・ルーカスをシリアル・キラーの中でも、とりわけ有名にしたのは、映画「羊たちの沈黙」での、あのアンソニー・ホプキンスの怪演のたまものだったのかも知れませんね。
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そんなヘンリー・リー・ルーカスは、2001年にテキサス州ウィリアムソン郡ジョージタウン刑務所内にて永遠の眠りについています。当時64歳。死因は心臓発作でした。
なお、彼の遺体を引き取りに来る身内はいなかったそうです。
出典:https://sumally.com/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士のモデルの1人になったとされるヘンリー・リー・ルーカス。
彼が一生のうちに殺害した人数と、異常な家族関係や生い立ち、起こした事件と逮捕後の晩年の様子、そして獄中死した死因についてまとめてみました。