香港で起きたハローキティ殺人事件はかわいい名前とは裏腹に残忍な事件で、発覚のきっかけが幽霊だと話題です。
今回は事件詳細、検索してはいけない言葉の理由、犯人の画像、幽霊との関係、裁判や判決、映画化や漫画化の有無を紹介します
この記事の目次
ハローキティ殺人事件とは
出典:storm.mg
ハローキティ殺人事件
発生日時:1999年
発生場所:香港の尖沙咀のアパート
犯人:3人の男
被害者:樊敏仪(Fan Man-Yee:ファン・マン・イー)
犯行:リンチの末のバラバラ殺人
ハローキティ殺人事件とは、1999年に香港の尖沙咀のアパートで起こった殺人事件です。
借金を返せなかった女性を3人の男が拉致し、1ヶ月以上にわたりリンチ・暴行を繰り返した末に殺害し、遺体をバラバラにして捨てています。
頭部だけはハローキティの人形の中に詰めたことで、「ハローキティ殺人事件」と呼ばれるようになりました。
また、幽霊が事件発覚のきっかけとなったことでも有名です。
この事件はあまりにも残忍なものだったために、2003年の香港電台(公共放送)で行われた「香港で起こった最もセンセーショナルな事件トップ10」で第4位にランクインしています。
ハローキティ殺人事件は「検索してはいけない言葉」&画像がやばすぎる
ハローキティ殺人事件はインターネット上では、「検索してはいけない言葉」とされています。
なぜなら、「ハローキティ殺人事件」で検索すると、人魚タイプの古びて薄汚れたハローキティの画像が出てくるからです。
そして、このハローキティの頭の中には、被害者の女性の頭部が詰め込まれてたんです。かわいいいキティちゃんの中に、人間の頭部…。
だから、ハローキティ殺人事件は検索してはいけない言葉なんですね。
ハローキティ殺人事件の詳細① 事件のきっかけ(動機)
ハローキティ殺人事件の被害者は、23歳の女性、樊敏仪(Fan Man-Yee:ファン・マン・イー)さんです。
ファンさんは、香港のナイトクラブのホステスとして働いていました。1998年生まれの息子が1人いて、事件当時は第2子を妊娠していました。
そんなファンさんは1997年、祖母の医療費を捻出するために、33歳のポン引きをしていた陳文樂から合計8,000元相当の香港ドル(12万円前後)を借ります。
そのうちに利子がどんどん膨らみ、1999年にはファンさんの借金は30,000元(45万円前後)にもなっていました。
ポン引きの陳文樂は手下の梁勝祖(26歳)と梁偉倫(19歳)に命じて、ファンさんから借金の回収をすることにしました。
ファンさんは妊娠中だったにも関わらず、売春をさせられ、客を取り、借金を14,000元返済します。
しかし、それ以上返すことができず、ファンさんは陳文樂たちを避けて逃げ回るようになりました。
ハローキティ殺人事件の詳細② 拉致から殺害まで
ファンさんが陳文樂たちを避けるようになったことに、陳文樂らは怒り狂い、1999年3月17日にファンさんを拉致して、尖沙咀グランビル道のアパート313号の部屋に監禁しました。
そして、1ヶ月以上に渡り、ひどい暴行・リンチをし続けたのです。
・溶けたプラスチックを足にたらされる
・鉄パイプで殴られる
・食用油を口に注がれる
・傷口に唐辛子油を塗りたくられる
・犯人の尿を飲み、便を食べさせられる
覚醒剤(メタンフェタミン)を吸入させられたこともあったようです。
また、暴行・リンチでファンさんがぐったりすると、犯人たちはライターでファンさんの足をあぶって火傷させ、生きているのか死んでいるのかを確認するなど、残虐の限りを尽くします。
そして、とうとうファンさんは拉致されてから約1ヶ月後の1999年4月中旬、死亡しています。
この時のファンさんは、顔がパンパンに腫れ、歯茎からは出血し、体は傷と火傷の水疱だらけでした。
ハローキティ殺人事件の詳細③ 犯人は遺体をバラバラに解体
ファンさんが死亡後、犯人たちはファンさんの遺体を解体することを決めました。
浴槽に遺体を運び、そこで遺体をバラバラにして、内臓はビニール袋に入れてごみ置き場に捨てています。
その時、ちょうど隣のアパートでレイプ事件があり、警察が来ていました。犯人たちは慌てて、ファンさんの遺体の一部を窓から捨てましたが、警察に発見されることはありませんでした。
その後、犯人たちは石油ストーブを使って、ファンさんの頭をゆでるという残忍な行動に出ます。
そして、人魚の姿のハローキティの頭をカットして、中から綿を取り出し、空いたスペースにゆでたファンさんの頭を詰めた後、遺体の頭入りのハローキティの頭と胴体と縫い合わています。
主犯格の陳文樂は、ファンさんの頭を鍋から取り出した後、「落ち込まないで。君が着飾るのを手伝ってあげるからね」と言いながら、ファンさんの髪の毛を頭から抜いていたそうです。
あまりにも恐ろしい光景ですね。
その後、近所の人が犯人たちのアパートから強い悪臭がすると警察に通報しましたが、警察は現場を見た後、「これはゴミの臭い」と判断して、それ以上の捜査はしませんでした。
この時点でファンさんは行方不明になっていますが、殺害されたと判明しているわけではありません。
犯罪に巻き込まれたかどうかすら不明の状態で、遺体も見つかっていないので、ただの行方不明の扱いなのです。
そのため、このハローキティ殺人事件は、完全犯罪になる可能性が高かったんです。
ハローキティ殺人事件の犯人は顔画像が流出している
出典:goody25.com
ここで、ハローキティ殺人事件の3人の犯人を見ていきましょう。
上記の犯人画像を見るとわかりますが、悪そうな顔はしていますが、ごく普通の青年に見えないこともない若者3人です。
ハローキティ殺人事件の犯人の名前は次の3人です。
・梁勝祖(26歳)
・梁偉倫(19歳)
■陳文樂
陳文樂はこの事件の主犯格で、被害者のファンさんにお金を貸した人物です。
ポン引き(売春あっせん)のリーダーをしていて、ほかの2人の兄貴分でした。麻薬の使用者で、衝動的な性格をしています。
■梁勝祖
反社会的な性格で、ルールを守らず、すぐにいらいらするタイプでした。
精神病的な部分を持ち、復讐をするのが好きで、犯罪的な思考を持っています。
■梁偉倫
子供の頃に母親を亡くし、親の愛情を受けずに育ちました。
すぐにカットしてイライラする性格で、弱いものをいじめをするようなタイプでした。
ハローキティ殺人事件は被害者の幽霊のおかげで発覚した?
ハローキティ殺人事件は、犯人たちによって遺体はバラバラに捨てられ、頭部はハローキティのぬいぐるみの中に隠されたため、このまま発覚せずに完全犯罪かと思われました。
しかし、被害者の幽霊のおかげで事件が発覚することになったんです。
犯人のガールフレンドが悪夢を見る
犯人の1人である梁偉倫(19歳)には、13歳のガールフレンド(仮名:阿芳)がいました。
この阿芳は家出少女で、香港の九龍にある女児院(ガールズホーム)で暮らしていました。
この阿芳は、ファンさんが死亡した約1ヶ月後に、次のようなことを女児院のソーシャルワーカーに話すようになりました。
・その幽霊は殺害されて、バラバラにされて怒っている
・殺害された場所も悪夢の中で教えてくれている
阿芳はソーシャルワーカーに、幽霊に取りつかれて悪夢を見たと打ち明け、その悪夢の中で幽霊が殺人事件の状況を詳しく説明したと話したんです。
ソーシャルワーカーは、阿芳が話す内容があまりにも具体的だったため、1999年5月24日に警察に通報することにしました。
殺人現場で遺体が発見される
通報を受けた警察は、半信半疑だったものの、1999年5月26日にその阿芳を伴って、阿芳が悪夢で見たと訴えている殺人現場(と思われる)アパートに行きました。
阿芳は怖がってしまい、殺人現場に入ることはできなかったので、警察だけで現場に入っています。
アパートのドアを開けた途端、死体の臭いがして、電気をつけたら人魚タイプのハローキティのぬいぐるみが壁にもたれかかる状態で置かれていたといいます。
そして、ハローキティの頭部からは、女性の頭部が見つかりました。ハローキティの頭部の中からは、女性の頭部以外にもウジ虫がわいていたそうです。
現場からは、遺体の頭部とハローキティ以外にも、ドアのない冷蔵庫やハンマー、遺体の頭部をゆでたと思われる鍋、遺体の一部が入っていると思われる鍋が見つかりました。
この女性の頭部でDNA鑑定をしようとしましたが、すでにゆでられて加熱処理された後だったため、DNA鑑定はできませんでした。
遺体遺棄に関与していたことが発覚
出典:insci.cn
このハローキティ殺人事件は、被害者ファンさんの幽霊が、犯人のガールフレンドに取り付いて事件を知らせた、という怪奇現象で発覚したのかと思われました。
しかし、実は違ったのです。幽霊のおかげではありませんでした。
ガールフレンドの阿芳も、実は犯行に関わっていたのです。
積極的に関わっていたわけではないようですが、被害者のファンさんが拉致されるところを見ていましたし、3人の犯人がファンさんの遺体をバラバラにするところも見ていました。
また、犯人たちに頼まれて、自分の便をファンさんに食べさせたこともあったようです。
おそらく、ガールフレンドの阿芳は事件の記憶から悪夢を見て、良心の呵責に耐えられず、「幽霊に取りつかれた」という嘘をついて、事件のことを告白したのでしょう。
「幽霊に取りつかれて悪夢を見た」という話の通り、遺体が見つかったことで、ただの幽霊による悪夢ではなく、阿芳がハローキティ殺人事件の全貌を知っていると警察はにらみました。
そして、阿芳を罪に問わないという条件で、阿芳はハローキティ殺人事件の全貌を話しました。
被害者のファンさんが拉致されて2ヶ月以上、死亡してから1ヶ月以上経ってから、ようやく事件が発覚し、事件の犯人が分かったのです。
ハローキティ殺人事件で3人の男が逮捕された
犯人の1人・梁偉倫のガールフレンドである阿芳の免責による自供によって、ハローキティ殺人事件は明るみに出ました。
そして、3人の男が容疑者として手配されることになりました。3人の男とは先述の通りです。
・梁勝祖(26歳)
・梁偉倫(19歳)
まず最初に逮捕されたのは、主犯格の陳文樂です。
陳文樂は妻や子供たちと住んでいたアパートを離れ、別のアパートに潜伏していました。警察はその情報を入手し、阿芳が自供した翌日の5月27日に逮捕しています。
次に逮捕されたのは26歳の梁勝祖です。梁勝祖は自分で出頭してきて逮捕されました。
最後に逮捕されたのは、阿芳のボーイフレンドだった19歳の梁偉倫です。
事件が明るみに出たことを新聞で知った梁偉倫は、香港を出て広西チワン族自治区に逃亡しました。
香港から逃亡したことを知った警察は、梁偉倫をインターポールや入国管理局、中国の公安に指名手配しています。
2000年2月14日に、梁偉倫は身分証明書がなかったために中国公安に拘束されたことで、正体がバレてしまい、国外追放となり、香港に身柄を送致されて香港警察に逮捕されました。
ハローキティ殺人事件の犯人の裁判と判決
ハローキティ殺人事件の裁判は2000年10月9に開かれました。
ファンさんの遺体の大部分は捨てられてしまい、残っている頭部は加熱処理されていたため、DNA鑑定ができず、ファンさんであると特定するための証拠は不十分な状態でした。
しかし、犯人は3人とも遺体損壊について容疑を認めたため、ガールフレンドの阿芳の自供もあったことから、検察側は殺人容疑でも起訴しています。
ただ、犯人3人とも殺人罪については否定し、さらにお互いに責任をなすり付けている状態でした。
裁判の結果、裁判所は犯人3人が危険人物(接触する人々を危険にさらす存在)として、公衆の保護目的のためにも、犯人3人に終身刑を言い渡しました。(香港には死刑は存在しない)
ただ、26歳の梁勝祖はファンさんが亡くなる前日からは部屋におらず、死亡には関与していないと訴え、上告しています。その結果、減刑されて懲役18年を言い渡されました。
ここで、犯人3人の裁判の判決を確認しておきましょう。
犯人名 | 裁判の判決 | 現在 |
陳文樂 (33歳) | 終身刑で上告は棄却 | 20年経過までは減刑申請できないため、 現在も刑務所 |
梁偉倫 (19歳) | 終身刑で上告は棄却 | 20年経過までは減刑申請できないため、 現在も刑務所 |
梁勝祖 (26歳) | 終身刑を言い渡されるも、上告して懲役18年 | 2014年4月に出所 |
実は梁勝祖はすでに刑期を終えて出所しています。
残り2人は終身刑ですが、香港では収監されて20年経つと減刑を申請できるため、今後は減刑が認められたら、陳文樂と梁偉倫が出所してくる可能性もあります。
ハローキティ殺人事件は映画化されている 【漫画化は?】
ハローキティ殺人事件はあまりに残忍な事件であり、「幽霊が事件を教えてくれた」というフィクション顔負けの事件でしたので、いろいろな映画・ドラマになっています。
ハローキティ殺人事件を映画化した作品
ハローキティ殺人事件を題材にした映画はこちらです。
・2001年:『人肉晩餐会』(原題:烹屍之喪盡天良)
・2015年:『九龍猟奇殺人事件』(原題:踏血尋梅)
いずれも日本の映画館では未公開になっていますが、九龍猟奇殺人事件はAmazon Primeでも見ることができますので、興味のある方はご覧になってみてください。
ハローキティ殺人事件はドラマ化も
出典:yesasia.com
ハローキティ殺人事件は映画化だけではなく、ドラマ化もされています。
・2009年:刑警「童黨烤屍」(TVB)
不謹慎ですが、ハローキティ殺人事件はいろいろと人を惹きつける展開が多い事件なので、映画やドラマとしては扱いやすい題材なのでしょう。
ハローキティ殺人事件を扱った漫画は今のところない
このように映画やドラマ化される事件は、日本の場合、たいてい漫画化されていますよね。
しかし、ハローキティ殺人事件は現在のところ、漫画として出版されたものはありません。個人が趣味として描いた漫画はあるようですが、出版物ではありません。
ハローキティ殺人事件は香港ではとても有名な事件ですが、日本ではほとんど報道されていないので、知名度が低く、漫画化はされていないんです。
映画やドラマも香港で制作されたもので、日本で制作されたものではありません。
漫画文化は日本特有のものですから、日本で有名な事件でないと、漫画化されないかもしれませんね。
ハローキティ殺人事件のその後と現在
出典:booking.com
ハローキティ殺人事件があった現場のアパートは、なかなか買い手が付きませんでしたが、2016年に建て替えられて、現在はホテルになっています。
また、被害者のファンさんには事件当時1歳の息子がいましたが、その息子は現在はカナダに移住しているそうです。
ハローキティ殺人事件のまとめ
ハローキティ殺人事件の概要と詳細、検索してはいけない言葉の理由、犯人の画像、事件発覚と幽霊の関係、犯人逮捕と裁判の行方、映画化や漫画化についてなどをまとめました。
ハローキティ殺人事件は本当に恐ろしい事件です。リンチされた挙句に殺害されるところが、女子高生コンクリート殺人事件にも通ずるものがあります。
被害に遭われたファンさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。