ドリームハウスは自宅建築ドキュメンタリー

「ドリームハウス」は、「完成!ドリームハウス」が正式番組名で、テレビ東京で2003年から2004年にかけて1年間レギュラー放送された後、不定期にスペシャル番組で放送されています。

視聴者から「ドリームハウス」と省略する形で呼ばれることが多く、ネットに数々の失敗が取り沙汰された際も、総称としてドリームハウスと書かれています。

番組はあくまで傍観者

番組は、オーダーメイドで戸建て住宅が作られる過程をドキュメンタリーとして追いかけるという内容。

家を建てるにあたり、視聴者の中から候補者を募り、テレビ局が選んだ建築家が要望を聞いて自宅を建築していきます。ここで登場する建築家は「匠」と呼ばれています。

家が完成するまでの数ヶ月間を現場のテレビカメラが追いかけますが、あくまでテレビ局は傍観者というスタンスで、何かトラブルが起こっても間に入って解決にあたることはありません。

掛かった費用は最後に発表されるスタイル

「ドリームハウス」で家ができるまでの様子をもう少し細かく説明します。

一般公募で当選した施主にはインタビューが行われ、現在の暮らしぶりや新しい家に対する要望、予算についてヒアリングします。

任命された建築家は、要望に沿ったデザインの設計に入ります。

その後は、現場で家が完成するまで密着取材が続きますが、家が完成するまで施主は自宅を見学することができません。

完成後に初めて家に案内される施主に向かって感想を聞き、最後に建築費用と予算の差分が発表されます。

ただ、これまでに出演した施主が提示した予算以内に収まったことが殆どなく、大抵は予算オーバーした見積もりに驚く施主…という図が定番でした。

ドリームハウスと類似番組の異なる点は？

多くの人にとって一生に一度の大きな買い物である家ですが、建築ドキュメンタリー番組では、建築現場の苦労や理想が実現していく過程がリアルで見ごたえがあるのが特徴です。

有名な建築ドキュメンタリー番組と言えば、「ドリームハウス」の他にも、テレビ朝日で放送されている「大改造!!劇的ビフォアーアフター」があります。

番組内容が似通っているため、混同している視聴者もいるかもしれません。

ですが、この2つの番組は似ているようで実は異なるポイントがあります。

「大改造!!劇的ビフォアーアフター」でも建築の費用は施主が持ちますが、建築家に支払うデザイン料はテレビ局が負担していることが判明しています。

ですが「ドリームハウス」においては、デザイン料を含め、全額施主が負担するため、全く同じ家を建てても出演する番組によって費用が変わるということになりますね。

最終的に施主が予算オーバーで驚いてしまうのは、この高額なデザイン料にあると言えるでしょう。

ドリームハウスはひどいとネットでは評判

「ドリームハウス」というネーミングの番組にもかかわらず、ネットでは、夢をぶち壊されると視聴者からの書き込みが散見されるようになりました。

色々ひどいと話題を呼んだ

掲示板で有名な5ちゃんねるやまとめサイトで次々にスレッドが乱立し、「狂気の沙汰」「色々失敗がひどい」と、次第に家の完成をネタとして楽しむ人が出てしまう始末。

この手の番組は、建物が完成してしまうと視聴者からの記憶が薄れていき、後日談を耳にすることはなかなかありません。

ですが、ドリームハウスに関しては「その後」にも注目が集まる不思議な番組となっています。

次からは、「何がひどいのか？」の具体例を見てみましょう。

ドリームハウスのひどい失敗例①　「ガラス張りの家」が企画段階でザワつく

「ドリームハウス」の一番人気の建物は、視聴者から名づけられた「ガラス張りの家」ではないでしょうか。

視聴者からは、「スケスケハウス」や「丸見えハウス」など名付けられた家は、度肝を抜く外観で思わず釘付けになってしまうものでした。

要望は解放感のあるオシャレな家

この「ガラス張りの家」が放送されたのは、2013年1月14日のスペシャル番組枠でした。家を建てたいと手を挙げたのは、埼玉県桶川市にある賃貸アパートに住む松ケ谷さん夫妻です。

子供が結婚したことをきっかけに、親から受け継いだ150坪の土地に一軒家を建てる決意をしました。

松ケ谷さん夫妻の保有する土地の映像を見る限り、周囲に家が建っておらず、見晴らしの良い場所です。建築法上の制約も少なく、思いのままにプランが立てられそうな敷地でした。

夫妻は、平屋建ての一軒家で、家族の居場所が分かる明るいキッチンにしたい、と要望していました。

建築家のプランニングに釘付け

窓の面積を多めに取って採光面積を広くすることで、開放感に溢れる家に見せるのはよくある話ですよね。

担当する建築家が思いついたメインプランは、解放感のあるバスルームに大きな窓、贅沢に空間を使うことをコンセプトとした「全面ガラス張りの家」でした。

完成予想のプラスチックで作られたミニチュアでは、建物を3つの棟に分けて廊下で繋いだ形になっており、ローマ字の「E」を反転させたような形状です。

この段階で、視聴者は全く完成後の生活が想像がつかず、思わず釘付けになった人が多かったのだとか。ただし、前途不明なのもまた番組としては好都合だったかもしれません。

工事開始後、8日間に渡り地盤改修工事。その後は着々と建物の工事が進むにつれ、常識や想像を超える物件がテレビに映し出されたのです。

ガラス張りの家は本当にスケスケ…大失敗だと話題に

ガラス張りの家が完成すると、次々にネットの掲示板に書き込みがアップされ、口コミであっという間に拡散されました。

家の壁という壁が本当にガラスのみで造られた光景にネットでは、騒然。

360度どこから見てもガラスであるため、素人でも防犯上の問題があることや、直射日光が当たって特に夏場は室内の温度が上がることは容易に想像が付きますね。

ネットからの声は、「耐震性も問題ありそう」「夏が地獄」「罰ゲーム」「解放感はこういうものじゃない」と、数多くの批判コメントが寄せられてました。

さらに、このデザインの関係で網戸が付けられず、窓を開くとすると虫が入ってくるので換気ができません。

一般の民家で屋根が水平というのも、違和感を感じた人が多かったようです。

また、壁面の硝子は特殊な素材で作られているので、万が一割ってしまうとサッシを注文することから始める必要性があり、金額も一般住宅のそれよりも高くつきそうです。

バスルームもガラス張りだった

家の中の作りが変わっていたことも、大いにネットユーザーが賑わうことになりました。

勿論バスルームもガラス張りになっているため、家族からも丸見え状態に…。

番組内では、家族がリビングで寛いでいるのを確認しながら入浴する様子に驚愕する視聴者が続出しました。ネットでは「お風呂まで丸見えなの?」と困惑のコメントが寄せられました。

あまりの解放感に、落ち着かないと感じた人が多かったようですね。

ドリームハウスのひどい失敗例②　「土の家」が怖いと話題に

「ガラス張り」の家を凌ぐ人気を誇るのは、通称「土の家」です。ある意味、施工主の意見を取り入れている、斬新な家がネットで話題になりました。

要望は芸術作品のような家

施主となったのは、結婚8年目を迎える高野さん夫妻です。嫁は、建築家の山下保博さんの大ファンなのだとか。

テレビ局に、山下保博さん設計で自宅を建てたいというメッセージが届いたことで出演が決定。

2人の要望は、「度肝を抜かれる芸術作品を思わせる外観」「広くて個性的なキッチン」と、ありきたりな自宅は望んでいない様子でした。

指名された山下保博さんは、日本において初となる「土」をベースにした家を思いつきました。

壁面は、日干しブロックを人力で積み上げるという手法の建築に挑戦。

基礎工事が終わった段階でテレビ画面に映った形は、かなり個性的で、視聴者はどのような自宅に仕上がるのか想像がつきませんでした。

公園のトイレと呼ばれた

いよいよ完成した自宅の外観を見てみましょう。

ひょうたんのようなフォルムで、どう見ても人が住む家の外観には見えず、ネットからは「公衆トイレなの？」「狂気の沙汰」と驚きの出来にコメントはヒートアップします。

ベッドが祭壇とザワつく

寝室はロフト風に作られており、階段上がるのですが、ベッドルームの周りにはアクリルの棒が無数に立っています。

どうやら、転落防止が目的のようですが、何とも禍々しい雰囲気にも見えます。

ネットでは、「生贄の祭壇のようだ」「斬新すぎる」「怖えーよ」と困惑の声が多数寄せられました。

この祭壇ベッドルームを含め、「土の家」は建築費用だけで2000万円掛かったと番組内で発表されています。

どれほど変わった家に住みたいと思っても、視聴者からは失敗だったと判断されてしまったようです。

ドリームハウスのひどい失敗例③　「ラブホの家」は仰天の間取り

ドリームハウスの失敗例として、ネットユーザーに人気が高いのは「ラブホの家」です。

敷地面積9坪という極小の土地に建てられた家が、斜め上を行き過ぎていると話題に。

建築面積は驚異の5坪

施主は、結婚して16年になる寺園さん家族です。

寺園さん夫妻は、ディズニーランドが大好きなので、千葉県浦安市に土地を購入。まさに夢の家ですね。駅から徒歩15分と、立地条件も悪くありません。

問題は土地の総面積が9坪と極めて狭く、浦安市の建ぺい率から建物の坪数を計算すると5坪というかなり難しい条件でした。

施工主からの要望は、収納が多めのキッチンと明るいバスルームと明るいダイニング。そして、譲れないのはディズニーランドの花火が見える家でした。

2人の要望を聞いた建築家の星裕一郎さんは、アイディア勝負の厳しい条件の中、3LDKの採光を重視したプランに取り掛かりました。

外観を見る限り、一般的な細長い家という印象ですが、後に「ラブホの家」と呼ばれることになるのは間取りに問題があったのです。

バスルームが寝室に置かれていた

完成した家を見てみましょう。そこに登場したのは、寝室と同じ空間にトイレとお風呂が設置されていたのです。

特に間仕切りがある訳ではなく、簡易的なカーテンで仕切られただけで、到底落ち着くとは言えない間取りです。

これを見た視聴者からは「まるでラブホ」と言われる始末…。

これも失敗例と言われていますが、建坪が5坪という限られた面積を有効に活かして3LDKという間取りを実現していますので、必ずしも失敗とは言えないかもしれませんね。

ドリームハウスのひどい失敗例④　「牛舎の家」は家の中に家がある…

他にも失敗作として名高いのは「牛舎の家」です。それは、家の中に家があるという、何とも不思議な家だったのです。

この家主の職業は酪農家という訳ではありません。

娘夫妻が匠を担った

この家の施工主は、岐阜県に住む葛川さん夫妻です。娘夫婦が建築家をしていることから、自然な流れで匠にご指名。

親子での2世帯住宅を希望した葛川さん夫妻の要望は、明るい家で、お互いのプライバシーを尊重しながらも、家族の気配を感じるという難易度の高さです。

採光を考えて、建物上部を木で組んだ枠がはめ込まれていますが、どう見ても牛舎のそれですね。

まさかの入れ子の構造に驚愕

出来上がった家の画像を見てみましょう。一見普通のログハウス風の建物ですが、家の中に小さな4つの小屋があるという不思議な構造。

4つの家を繋ぎ合わせた中心地に当たる2階部分には、家族が集えるようなロフトスペースが作られています。

その特殊な形状から、ネットユーザーが付けた名前が「牛舎の家」だったのです。

形こそは不思議であるものの、家のスペースを分割することでプライバシーが保たれて、広々とした空間に団欒する場所も設けました。

ただし、夏は直射日光が当たることで、「家が蒸し風呂になりそう」「豪華なビニールハウス」との意見もあり、実際に住むにあたっては失敗では？と疑問を感じる人も多かったようです。

ドリームハウスの失敗物件のその後も話題に　

「ドリームハウス」が注目されているのは、その斬新すぎる建築手法の他にも、「その後がひどい」と噂になっているからです。

すぐに売却された家もあった

ドリームハウスは、完成後に売却されている家が存在する事実が確認されています。

例えば、公衆トイレのようだとネットでかなりの盛り上がりを見せた前述の「土の家」は、2015年、「売地」の看板と荒れ果てた家の様子がSNSで拡散されました。

目玉だった土の外壁には落書きも見られ、失敗だったのは誰が見ても明らかでしょう。

売却がガセの家もあった

スケスケハウスと揶揄された「ガラス張りの家」も、あっという間に売り出されてしまった、と2014年に話題になりました。

360度パノラマ状態で落ち着かないことから、「売却されても仕方ない」と思われていたのですが、調査をしてみるとまだ依頼主が住んでいることが判明しました。

テレビで話題になったことで、県外から人が押し寄せてちょっとした観光地状態になったそう。

そのままだと外から丸見えのため、すだれやカーテンを駆使して外から見えないように工夫されているそう。

現在ネットでは、「桶川ヒルズ」という新たな愛称が付けられています。

ドリームハウスは現在は打ち切り？

詳細は明かされていない

「ドリームハウス」はもともと不定期で放送されている番組ですから、一概に打ち切りとは言えませんが、2017年12月30日の放送が最後になっています。

これまでに、夢を壊す番組としてネットで盛り上がってしまったことから、逆に企画を出しにくい状況になってしまったのかもしれません。

あまりの奇抜な出来に今後応募者が現れるかは微妙ですが、まだまだ新作が見たい視聴者も多いのではないでしょうか。

まとめ

ドリームハウスは、テレビ東京が放送した建築ドキュメンタリー番組「完成!ドリームハウス」の略称です。

プロの建築家が設計を担当して施主の希望の家を建てる、というコンセプトですが、完成した家の間取りとデザインが想像以上にひどいとネットで話題になりました。

これまでに大きな注目を集めた、360度パノラマ状態の「ガラス張りの家」、まるで公衆トイレのような「土の家」、寝室にバスルームとトイレがある「ラブホの家」は本当に衝撃的です。

2017年を最後に放送が止まっているようですが、「ドリームハウス」の続編放送があることに期待しましょう。