ロッキード事件の真相!田中角栄つぶしの陰謀説などわかりやすく解説

戦後最大の疑獄事件(汚職事件)ロッキード事件は、元総理大臣・田中角栄が収賄容疑で逮捕されるという前代未聞の衝撃的事件でした。

 

今回はこのロッキード事件についてわかりやすくまとめ、その原因や真相、囁かれ続ける田中角栄潰しの陰謀論についても合わせてまとめます。

ロッキード事件とは

 

出典:https://www.sankei.com/

 

1976年2月に発覚した「ロッキード事件」とは、アメリカの大手航空機製造会社ロッキード社が、自社の新ワイドボディ旅客機「L-1011 トライスター」を、日本の大手航空会社である全日空(ANA、全日本空輸株式会社)に新導入機として選定させるために、総額で約30億円にものぼる賄賂を日本の財政界の大物や関係各社の中心人物らに渡していた汚職事件です。

 

ロッキード社は、当時の日本財政界の黒幕とも言われていた児玉誉士夫にコンサルタント料という名目で約700万ドル(当時のレートで約21億円)を渡し、さらにその児玉誉士夫を通じて、ロッキード社の日本における販売代理を受け持っていた総合商社・丸紅株式会社の関係者、そして、国際興業株式会社創設者・小佐野賢治を経て、当時の総理大臣・田中角栄に5億円の賄賂が渡されていた事実が発覚します。(詳細な金の流れについては判明していない部分が多い)

 

この巨額の賄賂の内、約5億円が、当時の総理大臣の田中角栄(事件発覚時には既に退任)に贈られていた事が判明した事で、「ロッキード事件」は、「総理の犯罪」として、日本の民主主義を揺るがす大問題へと発展します。

 

ただ、この「ロッキード事件」については、田中角栄を権力の座から引きずり下ろすための、敵対勢力によるでっち上げの工作で表に出ていない黒幕が存在するという陰謀論も存在します。

 

今回はその「ロッキード事件」を出来るだけわかりやすく解説します。

 

 

ロッキード事件をわかりやすく解説① 事件の原因と発端は全日空の旅客機選定

 

出典:https://twitter.com/

 

「ロッキード事件」における金の出所は、アメリカの航空機開発会社大手、ロッキード社でした。

 

当時、ロッキード社はレシプロ機からジェット機へと後期開発が移り変わっていく流れの中で、ライバル他社に遅れをとり始めており、さらに元々軍用機の開発に重点を置いていたロッキード社は、ベトナム戦争の終結で軍用機の需要が急落した事によって赤字経営に転落する憂き目を見ていました。

 

そのロッキード社が民間機市場でのシェアを獲得すべく、軍用機開発で培ったその最先端技術を惜しげも無くつぎ込み、社運をかけて開発したのが新型のワイドボディ旅客機「L-1011 トライスター」でした。

 

ロッキード社はこのトライスターを売り込むため、日本をはじめとする各国の政治家や、関係する経済界、航空分野の関係者になりふり構わぬ働きかけを行っていました。ちょうど次期ワイドボディ旅客機の選定を行っていた全日空に対しても強い働きかけがありました。

 

こうした働きかけの結果、全日空は1972年10月に「L-1011 トライスター」の採用を決定しています。

 

 

ロッキード事件をわかりやすく解説② チャーチ委員会で大規模贈賄が発覚

 

出典:https://en.wikipedia.org/

 

「L-1011 トライスター」の全日空への納入が開始されてから2年が経過した1976年2月、多国籍企業小委員会(チャーチ委員会)がアメリカ議会上院で開かれていましたが、そこに極秘資料が入った小包が配達されました。

 

この小包は誤って配送されたという事になっていますが、極秘資料入りの小包がわざわざアメリカの議会に送られてくるというのはあまりにも不自然であり、何者かの陰謀だったとの説が有力です。陰謀論については後半で紹介します。

 

その極秘資料には、トライスターの開発が行われていた1970年代のはじめ頃に、ロッキード社が、各国航空会社に同機を売り込む目的で、各国の政府関係者に対して巨額の賄賂を贈っていた事が示されていました。これにより、巨額の贈賄事件が発覚しロッキード社への追求が強まります。

 

そのチャーチ委員会の公聴会の中でロッキード社の当時の副社長だったアーチボルド・コーチャンと、贈賄発生当時の東京駐在事務所代表のジョン・ウイリアム・クラッターが、1972年10月頃に、日本財政界を牛耳るフィクサーとして知られていた児玉誉士夫に対して21億円にも及ぶ(全日空にトライスター選定を働きかけてもらうための)仲介料を渡し、さらにその金は総合商社丸紅などを経て、最終的には当時の総理であった田中角栄に5億円もの金が贈られたという驚くべき内容を証言したのです。

 

出典:https://twitter.com/

 

つまり、数十億円もの工作資金が日本の財政界の大物にばら撒かれていた事が判明したわけですが、これは、国民に日本の財政界に賄賂が横行し、それによって政治や経済が牛耳られている事を疑わせました。

 

田中角栄は「ロッキード事件」発覚時には既に総理を退いていましたが、退陣のきっかけとなったのは、「田中金脈問題」というスキャンダルで、これは田中角栄がインサイダーまがいの不正な方法で莫大な資金を作り出し、それを気前よくばら撒く事で派閥の結束を固め総理の座まで上り詰めたという疑惑が追求されたものでした。

 

つまるところ、田中角栄はこの当時、汚い方法で作った金の力で権力を握った政治家という悪いイメージで国民から見られていたのです。

 

そうした背景の中、この巨額の収賄が発覚した事で、田中角栄に対する世論の追求は極めて激しいものとなったのでした。

 

 

ロッキード事件をわかりやすく解説③ 前総理・田中角栄が収賄容疑で逮捕

 

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「ロッキード事件」に対する国民世論の反発やマスコミの報道は過熱の一途を辿りました。

 

これを受け、当時の三木武夫首相は積極的に捜査に関与する姿勢を見せ、その意向を受けた特捜検察は1976年7月27日に、受託収賄と外為法違反の容疑で田中角栄元首相の逮捕に踏み切りました。総理大臣経験者が在任中の容疑で逮捕されたのは、戦後史上初めて異例の事態でした。

 

さらに、田中角栄逮捕と同時に、田中の秘書官だった榎本敏夫も外為法違反の容疑で逮捕・起訴され、これと同時期に、「ロッキード事件」における主要な金の流れの一つ「丸紅ルート」を主導したとして、丸紅株式会社の檜山廣会長(事件当時は社長)も受託収賄および外為法違反で逮捕・起訴されています。

 

さらにその後、全日空の当時の社長である若狭得治以下6名の全日空社員が、外為法違反、議院証言法違反などの疑いにより逮捕・起訴されるなど、財政界の大物が次々と逮捕され、事件の背後にある大きな闇が炙り出されていきました。

 

 

ロッキード事件をわかりやすく解説④ 田中角栄らの実刑で事件に幕引き

 

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その後、1983年10月12日、田中角栄には、懲役4年追徴金5億円の有罪判決が下されます。田中角栄はこれを不服として控訴しますが、1987年7月29日に控訴は棄却され、その後上告。

 

そして、1993年12月16日、上告審の最中に田中角栄は肺炎によって75歳の生涯を閉じます。これにより公訴棄却となり、審理は打ち切りとなりました。

 

なお、その他の逮捕者にもそれぞれ有罪判決が下されています。全日空の若狭得治社長(判決時は全日空相談役)には、懲役3年執行猶予5年の有罪判決。丸紅の会長・檜山廣も1995年に実刑が確定していますが、高齢のため刑の執行が停止され2000年に死去しています。

 

また、「ロッキード事件」の最大の黒幕とも言われる児玉誉士夫も裁判を受けましたが、判決が出る前に死去しています。

 

 

ロッキード事件は多くの謎を残したまま幕引き

 

こうして、「ロッキード事件」は多くの謎を残したまま幕引きされました。ロッキード事件の真相については、陰謀説を含め様々な説が現在まで囁かれて続けています。次の見出しからロッキード事件の真相について見ていきます。

 

 

ロッキード事件の真相① 三木武夫政権によるライバル田中角栄つぶしの陰謀説

 

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田中角栄内閣は、前述の通り「金脈問題」が厳しく追求されたことで解散に追い込まれました。その後を継いだのが三木武夫内閣でしたが、その後「ロッキード事件」が明るみに出ると、三木武夫首相は直々に捜査開始の指示を出し、当時のアメリカ大統領、ジェラルド・フォードにも捜査への協力を要請するなど、異例の積極関与を行い、田中角栄を追い詰めました。

 

この積極的な三木武夫元首相の行動から、そもそも「ロッキード事件」は田中角栄と敵対関係にあった三木武夫の派閥によって仕組まれた田中角栄潰しの陰謀だったのではないか?とする説が囁かれています。

 

田中角栄は、逮捕から保釈された後、神楽坂の愛人宅を訪れ、悔しそうな様子で「アメリカの差し金で三木にやられた」と口にしていたそうです。

 

「ロッキード事件」を三木武夫が仕組んだのかについては不明ですが、少なくとも三木武夫は自分の政権基盤を強化すべく、ロッキード事件を利用して田中角栄を表舞台から葬りさろうとして積極的に動いた事は確かです。

 

しかし、田中角栄はそれに屈する事なく反撃を開始し、自民党内の味方を糾合すると「三木おろし」の動きを作り出しました。結果、三木武夫内閣は解散総選挙に踏み切る事ができず、任期満了に伴う衆院選に突入する事になります。

 

この衆院選で自民党は議席数を大きく減らし、その責任を取る形で三木首相は辞任を表明。一方で田中角栄は地元新潟からのトップ当選を果たしており、政治家としての圧倒的な実力差を見せつける形になりました。

 

 

ロッキード事件の真相② 対潜哨戒機P3Cと大手商社・丸紅の利権がらみ説

 

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「ロッキード事件」で田中角栄にわたった5億円の真相は、本当は「L-1011 トライスター」がらみではなく、ロッキード社が開発した対潜哨戒機「P-3C」を海上自衛隊に導入させるために渡されたとする説があります。

 

当時、日本は対潜哨戒機の国産化を進めていましたが、それを阻止しロッキード社から「P-3C」を導入させるため、当時の首相である田中角栄に働きかけるための金だったというわけです。

 

この計画を持ちかけたのは、ロッキードと日本の仲介業者だった総合商社丸紅の当時の幹部社員で、後年になってその社員本人からの証言も出ています。その社員は「(対潜哨戒機が)国産化されれば丸紅にには仲介手数料は一銭も入らないが、『P-3C』が導入されれば莫大な手数料が入るために、そうした動きがあった」といった内容を説明しました。

 

ロッキードの当時の副社長・アーチボルド・コーチャンも、尋問の中で当時の丸紅の幹部社員から「P3C」の売り込みを巡って5億円を支払うように言われたとの証言をしています。

 

ロッキード側と丸紅側の双方に大きな利権が存在しており、かなりの信憑性の高い説だと言えます。

 

これを裏付けるように、当時、アメリカ大使館からアメリカ本国に向けて「P3Cについての情報は一切出さない方が良い」という報告書が送られていた事が判明しています。

 

 

ロッキード事件の真相③ アメリカ政府による田中角栄おろしの陰謀説

 

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「ロッキード事件」は、アメリカ政府による田中角栄おろしを目的にした陰謀だったとする説も存在します。

 

田中角栄内閣は、独自での資源外交や日中国交正常化を押し進めました。日本政府を支配下に置いておきたいアメリカ政府はこの動きに警戒感を強め、「ロッキード事件」を意図的に仕組んで田中角栄の追い落としを画策したのではないかといわれています。

 

当時のアメリカ国務長官は有名なヘンリー・キッシンジャー博士でしたが、田中角栄は側近に「キッシンジャーにやられた」と漏らしています。

 

さらに、在米韓国人記者の文明子が「ロッキード事件はあなたが起こしたのか?」と質問すると、キッシンジャーは「オフコース(もちろんだ)」と答えたと、文明子が著作の中で書いています。

 

 

まとめ

 

今回は、戦後最大の疑獄事件(汚職事件)ともいわれる「ロッキード事件」についてまとめてみました。

 

「ロッキード事件」は、ロッキード社の大型旅客機「トライスター」の導入選定をめぐり、ロッキード社から日本の政財界に多額の賄賂が贈られた事件です。

 

この賄賂は当時の総理大臣・田中角栄にも渡されたとされ、「総理の犯罪」として日本中が大騒ぎになり、田中角栄をはじめ、政財界の大物が次々と逮捕される自体にまで発展しました。

 

ただ、この事件には表に出されていない多くの謎が残され、その真相は何者かによる田中角栄潰しを狙った陰謀だったのではないか?とする説が囁かれ続けています。

 

当時の事件の真相を知る、当時者達はほとんどが鬼籍に入っており、今後この事件の真相が当事者達の口から語られる事はないでしょう。この先、「ロッキード事件」の真相が明らかにされる日は来るのでしょうか?

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