少年院とは

少年院とは、未成年が犯罪を犯した場合、更生を目的として収容する施設のことです。少年院を管轄する法務省のホームページに、詳しい説明があったので引用します。

少年院は，家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し，その健全な育成を図ることを目的として矯正教育，社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。

 

引用：法務省：少年院

少年院というと、犯罪を犯した札付きのワルが送られる刑務所というイメージがあるかもしれません。

でも、基本的には少年を更生させるために矯正教育をして、社会復帰支援をする施設ですので、「未成年が入る刑務所」とは違います。

あくまでも更生させることが前提で、社会復帰を助けるのが目的ということですね。

少年院の種類

少年院はその性質・特徴から4つに分けることができます。

■第一種少年院

心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容する少年院です。

心身ともに健康である少年の中で、初犯～更生の可能性が高い人を収容します。2015年以前の初等少年院・中等少年院に相当する少年院です。

■第二種少年院

心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容する少年院です。

第一種少年院と比べて、年齢層が16歳以上と高めであること、さらに「犯罪的傾向が進んだ」というところが特徴です。

犯罪的傾向が進んでいるということは、犯した犯罪が悪質だったり、何度も犯罪を繰り返していたりしているということですね。

第一種少年院では更生の見込みが少ないような少年が入る少年院と言っても良いでしょう。

■第三種少年院

心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容する少年院です。2015年以前の医療少年院に相当する少年院です。

現在の日本には第三種少年院は京都医療少年院の1ヶ所しかありません。精神疾患がある少年犯罪者を重点的に受け入れています。

■第四種少年院

少年院において刑の執行を受ける者を収容する少年院です。この第四種少年院だけ、他の少年院とは少し毛色が異なります。

少年院は基本的に犯罪を犯した未成年を矯正して社会復帰させることが目的ですが、この第四種少年院は「刑の執行」が目的ですから、刑務所に近い少年院ということができるでしょう。

少年院に入る年齢

少年院に収容されている年齢は、12～26歳です。

ただ、少年院は未成年が対象ですから、家庭裁判所で送致が決定されるときの年齢は12～20歳です。

出典：moj.go.jp

法務省のデータによると、少年院に入所するのは、10代後半の年齢層が最も多く、18歳がピークになっています。

女性の場合、少年院に入る人数が男子に比べて圧倒的に少ないことに比べ、年齢によって男子ほど大きな差が出ていないことも特徴ですね。

少年院の入所期間

刑務所の場合、刑期によって入所期間が異なります。無期懲役の実刑判決を受ければ、仮出所がない限り、一生刑務所で刑罰を受けて過ごすことになります。

しかし、少年院は刑務所ではありません。矯正して社会復帰することを目的とした施設ですので、刑務所ほど入所期間は長くありません。

少年院の入所期間は次のように分けることができます。

少年院に入所する少年が、どの処遇になるかは家庭裁判所次第です。

家庭裁判所の処遇勧告に従って、少年院での入所期間は決められます。

もし、家庭裁判所からの処遇勧告がなければ、およそ1年程度の期間になることが多いです。いわゆる「長期処遇」ですね。

もちろん、初犯で犯罪傾向が少ないと判断されれば、入所期間は短くなります。

ただ、特修短期処遇・一般短期処遇など短期間の予定で少年院に入所した少年でも、入所後に矯正に時間がかかると判断されれば、予定していた入所期間よりも長くなることはあります

少年院での生活

少年院は矯正・社会復帰を目的とした施設ですから、刑務所のように労働を課すわけではありません。

ただ、少年院を出て社会復帰する時に困らないよう、スムーズに社会復帰できるように必要な技能を身につけるための指導は行われています。

規則正しい生活を送る

少年院では規則正しい生活を送ることになります。また、当然のことながら集団生活になります。

一例で言うと、7時起床後に朝食、それから午前中は指導・教育を受け、昼食。昼食後は再び夕方まで指導・教育を受けて、夕食や自己学習などがあり、就寝となります。

無用な私語は厳禁が基本です。

回数は限られていて無制限というわけではありませんが、家族との面会は許可されています。

様々な教育活動

少年院では、様々な教育活動が行われています。教育活動は、具体的に次の5つに分けられます。

少年院には12～20歳の少年が入所しますので、中学・高校相当の授業が行われます。

退所後に高等学校卒業程度認定試験（大検）を受けられるよう、指導が行われるのです。

また、次のような資格を取得することもできます。

ただし、この中でどれでも資格を取得できるというわけではありません。どの資格を取得できるかは、少年院によって異なります。

ただ、このように社会に出て役立つ技能を少年院にいる間に身につけさせて、資格を取得させることで社会復帰した時に仕事を見つけやすくしているのです。

少年院に入ったことがある芸能人・有名人①　男性8名　

少年院に入っていた男性芸能人・有名人を見ていきましょう。少年院に入ったことで、更生できたという良いケースだと思います。

1．宇梶剛士さん

俳優の宇梶剛士さんは、高校時代は暴走族の総長だったことは有名ですよね。

「ブラックエンペラー」の総長として2000人を率いていたと言われており、傘下まで入れると1万人にもなったのだとか。

その名は東京多摩地区を中心に広がっていて、ヒロミさんは宇梶さんのことを「とんでもない有名人だった」と述べていて、ゲッツ板谷さんは「伝説的な存在」と記述しています。

そんな宇梶さんは、暴力団との抗争で逮捕されて少年院に入所していた過去があります。その前は少年鑑別所に送致されていたので、少年院への送致となったようですね。

少年院で更生でき、チャップリンの本を読んだことで俳優を志すようになって、現在に至るとのことです。

2．布施博さん

布施博さんは学生時代はかなり悪くて、やんちゃをしていたと言われています。その頃は、他人のアメ車を乗り回し、ヤクザのベンツをボコボコにしたなんて逸話もあるほどです。

そのような学生時代だったため、少年院に入っていたことがあるようです。しかも、その少年院でもかなり暴れていたようで…。

布施博はまじで少年院時代に
ヤクザの息子と喧嘩して窓ガラスに頭つっこませて
半殺しだからね

 

引用：☆喧嘩の強い芸能人は誰？ PARTⅡ

このような武勇伝もありますので、本当に悪かったようです。

3．木村一八さん

伝説の漫才師・横山やすしさんの息子である木村一八さんは、19歳の時にタクシー運転手に暴行を加えて逮捕されています。

タクシーに乗車拒否をされて、その後に停まったタクシーの運転手に因縁をつけて車外に引きずり出し、殴る蹴るの暴行を加え、脳挫傷の重傷を負わせました。

その結果、木村一八さんは逮捕され、少年院に送致されることになりました。

木村一八さんは当時、連続ドラマに出演していましたが、この事件で降板することになりました。

4．後藤祐樹さん

EE JUMPの「ユウキ」という名義で活動していた後藤祐樹さんは、芸能界引退後の2007年に銅線を盗んだり、強盗傷害などの容疑で逮捕されました。

10件の窃盗に関与していたことが明らかになり、2008年には少年刑務所に入所しています。

少年院ではなく少年刑務所ですから、より悪質と判断されたものと思われます。

5．朝倉未来さん

プロ総合格闘家として活躍する朝倉未来さんは、10代の頃は地元では有名なヤンキーだったようで、喧嘩に明け暮れる日々を送っていたといいます。

喧嘩が相当強く地元では敵なし負けなしの状態で、数々の武勇伝も存在するようです。

傷害事件を起こして高校を退学になった後は、暴走族の副総長となっていますが、16歳の時にバイクの無免許運転により愛知県の瀬戸少年院に入ることになりました。少年院には1年4ヶ月入っていたようです。

退院後は心を入れ変え格闘家の道を歩み始めます。そして、THE OUTSIDERでの二階級制覇やRIZINでの活躍から注目を集め人気を獲得していきました。また、現在はYouTuberとしての活動にも注目が集まっていますね。

6．勅使河原弘晶さん

第44代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の勅使河原弘晶さんは、17歳から19歳まで小田原にある小田原少年院に入所していました。

その前には新潟の少年院に入っていたので、2度も少年院にいたことになります。しかも、17歳から19歳と入所期間が長いですよね。

小田原少年院の閉庁式では、次のように述べています。

「この少年院で生まれ変わり、ボクサーになろうと決心した。絶対に世界チャンピオンになって、可能性があることを伝えたい」

 

引用：小田原少年院から王者に　プロボクサー勅使河原さん　「道は自ら切り拓く」 | 社会 | カナロコ by 神奈川新聞

少年院で更生した良い例ですよね。

7．駿太さん

第15代マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟フェザー級王者、第2代WMAF世界フェザー級王者の駿太さんは、同級生との喧嘩が原因で、高校を半年で中退することになりました。

その後、暴走族に入り、盗みを働いて逮捕され、少年院に入ることになります。

入所期間は11ヶ月間の予定でしたが、優等生だったために9ヶ月半に短縮され、退所後は仕事をして、キックボクシングに本格的に打ち込むようになったとのことです。

8．大和武士さん

元ミドル級日本チャンピオンの大和武士さんは、少年院時代に沢木幸太郎さんの「一瞬の夏」を読んで、プロボクサーになることを決意、退所後はボクシング界へ足を踏み入れます。

ボクシングを引退した後は、俳優として活躍していましたが、残念ながら2008年に傷害罪で逮捕され、2013年には覚せい剤取締法違反で逮捕されています。

少年院に入ったことがある芸能人・有名人②　女性1名

1．戦慄かなのさん

アイドルとして活躍している戦慄かなのさんは、少年院出身のアイドルとして注目を集めています。高校時代にJKビジネスに関与して、少年院に入ったそうです。

少年院にいた期間は1年8ヶ月と長く、同じ少年院にいた人からは「長老」と呼ばれていたんだとか。

戦慄かなのさんは少年院時代に、危険物取扱者、そろばん検定、秘書検定、ワープロ検定、エクセル検定などの資格などを取得しています。

少年院に入ったことがある芸能人・有名人③　海外3名

1．マイク・タイソンさん

ヘビー級王者のマイク・タイソンさんは、子供の頃にいじめられていたことがきっかけで、非行に走るようになり、そこから少年院に送致されました。

少年院時代にボクシングに出会い、少年院を出所後は本格的にボクシングに打ち込み、世界王者にまで上り詰めました。

2．ルービン・カーターさん

元プロボクシング選手のルービン・カーターさんは、白人男性の時計を盗んだ罪で、11歳の時に少年院に送致された経験があります。

少年院は円満退所したわけでなく、脱走したそうです。そして、軍隊に入ります。

1966年、白人男性を3人射殺した罪で逮捕されました。

これは冤罪の可能性がありましたが、陪審員全員が白人で、黒人だったルービン・カーターさんには不利な状況になり、終身刑となっています。

3．マーク・ウォールバーグさん

2017年の「もっとも稼いだ俳優」に選ばれ、「テッド」シリーズや「トランスフォーマー」シリーズに出演しているマーク・ウォールバーグさん。

若い頃はかなり荒れていたようで、高校中退後は暴力とドラッグに明け暮れた生活を送っていたんだとか。

16歳の時に葉コカインとアルコールで酩酊した状態でベトナム人男性を襲撃し、人種差別的な言葉で罵りながら木の棒で殴りつけるという事件を起こし、殺人未遂容疑で起訴されています。

その時は感化院（現在の児童自立支援施設）に収容されましたが、なぜか45日で出所しています。

まとめ

少年院の年齢や期間、生活、少年院に入ったことがある芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか？