先端巨大症とは

先端巨大症（アクロメガリー）とは、成長ホルモンの過剰分泌で起こる病気です。私たちは、成長ホルモンが分泌されることで、身体が成長し、新陳代謝が進んでいきます。

でも、それは成長ホルモンの分泌量が適正だった場合です。成長ホルモンが過剰に分泌されると、身体は異常成長を見せるようになります。顔や体の一部が異常に成長し、巨大化していく病気なんです。

そして、同時に重大な合併症を引き起こし、命に関わることになります。先端巨大症の人は何の治療もしなければ、死亡率が高くなり、寿命も短くなることがわかっています。

成長ホルモンの過剰な状態が長期に持続すると、さまざまな合併症が出現します。何も治療をしないと一般健常人に比べて死亡率が2-4倍になり、寿命が平均10-15年短くなることが報告されています。しかし適切に治療を施すことによって、ほとんどの方は健康な生活を送ることができます。

 

引用：アクロメガリー（先端巨大症・成長ホルモン産生下垂体腺腫） | 昭和大学病院

そのため、先端巨大症の人はしっかりと治療しないといけないんです。

先端巨大症の患者はそれほど多くなく、100万人に40～60人とされています。患者数が少ないために、症例数が少なく、専門医でも先端巨大症という病気を見逃してしまうこともあると言われています。

ただ、病気を見逃されると、合併症によって死亡率が高くなりますので、今から説明する症状に当てはまる人は、専門の医療機関を受診して、きちんとした検査を受けないといけません。

先端巨大症の症状

先端巨大症は、基本的に次のようなものがあります。

出典：acro-net.jp

見た目の症状から挙げていきます。

次に、外見の特徴以外の症状をご紹介します。

このような生活習慣病のような症状も現れるんです。そして、死亡率を高める恐ろしい合併症も出てきます。

これらは日本人の死亡原因の上位を占める疾患ですね。先端巨大症になると、これらの疾患になるリスクが上昇するため、死亡率が高くなるんです。

先端巨大症の診断基準

先端巨大症の診断基準は、厚生労働省の研究班による「先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き」で決められています。

先端巨大症は主徴候、検査所見、副徴候の3つに分類されています。

先端巨大症の原因と治療法

先端巨大症の原因は、脳下垂体という成長ホルモンを分泌する器官に良性の腫瘍（成長ホルモン産生下垂体腺腫）ができることです。

脳下垂体に腫瘍ができると、そこからドバドバと成長ホルモンが分泌されるようになるため、先端巨大症を発症するのです。

なぜ成長ホルモン産生下垂体腺腫ができるのか、その原因はまだ分かっていませんが、食事や生活習慣、男女差は関係ないとされています。

また、先端巨大症は子どものころに発症することは非常にまれであり、大人になってから発症することが多いです。

治療は原則として手術療法が選択されます。手術をして成長ホルモンを切除すれば、先端巨大症の進行をストップさせることができるからですね。

手術で治癒可能な腫瘍を確実に摘出するのが、最善の方法です。（一般市中病院では、「手術でおおまかに腫瘍を摘出して、あとは薬物治療を」と考えている先生が少なからずいますが、初回の手術が最も重要です。）全身合併症のため、全身麻酔、手術が困難な場合を除いて、手術療法が第一選択の治療（まず行うべき治療）です。

 

引用：アクロメガリー（先端巨大症・成長ホルモン産生下垂体腺腫） | 昭和大学病院

ただ、腫瘍の位置や大きさによっては、手術をしても完全に治癒させることができないこともあります。その場合は、手術療法以外に薬物療法や放射線療法を用いて治療を行っていきます。

先端巨大症の芸能人・有名人10人

先端巨大症の芸能人や有名人を見ていきましょう。今から紹介する芸能人・有名人は、先端巨大症であることが確実、もしくはほぼ間違いない人もいますが、インターネット上での噂レベルの人もいますので、その点はご了承くださいね。

1．ジャイアント馬場さん

元プロレスラーであり、実は元プロ野球選手でもあったジャイアント馬場さんは、先端巨大症でした。208cmという長身もさることながら、顎や顔の辺りが大きくて、少しバランスが悪く、違和感を覚えますよね。あれは、先端巨大症だからなんです。

ジャイアント馬場さんは大腸がんで亡くなっていますが、大腸がんは先端巨大症に多い合併症ですね。

2．篠原信一さん

シドニーオリンピックの男子柔道100kg超級銀メダリストで、世紀の誤審で涙を飲んだ篠原真一さんも、先端巨大症ではないかという噂がありますね。

篠原真一さんは187cmと身長が高いですし、額が出ているところや顎が出ているところ、顔の大きさ的に少しアンバランスなところが、先端巨大症の特徴を満たしています。ただ、あくまで見た目的に先端巨大症ではないかというだけで、本当のところはわかりません。

3．チェ・ホンマンさん

韓国人の格闘家であり、日本ではタレント活動もしていて人気を博したチェ・ホンマンさんも、先端巨大症でした。218cmという長身と顔のバランス、顎や頭の大きさなどを見ると、先端巨大症の特徴的な症状が出ていますね。

チェ・ホンマンさんは、2008年に成長ホルモン産生下垂体腺腫の除去手術を受けています。

4．アンドレ・ザ・ジャイアントさん

プロレスラーとして日本はもちろん、全世界で活躍したアンドレ・ザ・ジャイアントさんは、「大巨人」、「世界8番目の不思議」、「人間山脈」、「一人民族大移動」などのすごいニックネームを持っていましたが、先端巨大症の患者でした。

223cmという長身、足のサイズは38cmという体の大きさに骨格が耐えることができず、晩年は両手で杖をつき、歩行もままならない状況だったようです。また、糖尿病にも苦しんだとのことです。

5．岡山恭崇さん

元バスケットボール選手の岡山恭崇さんは、先端巨大症の患者ですね。230cmという身長は、存命中の日本人の中では最高身長になっています。

これだけの身長があれば、NBAにドラフト指名されたこともあることも納得ですよね。現在は社業を行いながら、バスケットの普及活動を行っています。

6．大内山平吉さん

元大相撲力士であり大関まで昇進した大内山平吉さんも、先端巨大症でした。200mを超える身長と顔や顎の大きさを見ると、先端巨大症だったことがわかりますね。

この恵まれた体格から横綱昇進も期待されましたが、先端巨大症による症状やひざの故障で最高位は大関（引退前は大関から陥落）で引退されています。

7．出羽ヶ嶽文治郎さん

元大相撲力士の出羽ヶ嶽文治郎さんも、先端巨大症でした。大きな顎と頭の大きさ、足の大きさを見ると、先端巨大症であることがわかると思います。関脇まで昇進していますが、足腰の故障など大関・横綱までは昇進できませんでした。

47歳という若さで死去していますが、ご遺体は東京大学医学部に保管されていて、巨人症の研究が本格的に始まった1984年に解剖されました。現在でも東京大学医学部附属病院にご遺体の一部が標本として保管されています。

8．橘慶太さん

w-indsのボーカルである橘慶太さんは、先端巨大症ではないかという噂がありますね。身長は183cmと明らかに高いわけではありませんが、デビュー当時と比べて、明らかに外見が変わったからです。整形で変わったというわけではありません。

身長が一気に伸びましたし、顎や頭が伸びた（大きくなった）印象を受けます。

ただ単に成長期だったと言えばそれまでですが、大人になってから先端巨大症を発症する例はありますし、早期に治療をすれば、外見的には明らかな変化はありませんので、ただの成長期だったのか、先端巨大症だったのかは不明です。

9．ガンバレルーヤよしこさん

ガンバレルーヤのよしこさんは、2018年11月に下垂体腫瘍の除去手術を受け、一時休養していましたが、この時の手術は先端巨大症のための手術ではないかと言われています。

復帰後にワイドナショーに出演された時には、手術前の病状について次のように語っています。

鼻が急に大きくなってきまして、あごもすごく出てきて、どんどん。手足もぱんぱんになってしまって、足ももともと２４・５センチだったのが２７センチになってしまって…

 

引用：ガンバレルーヤよしこ　闘病振り返る「鼻とあごが急に大きくなってきて…」/芸能/デイリースポーツ online

この症状は、明らかに先端巨大症ですよね。先端巨大症によって足がそんなに大きくなるなんて、驚きですよね。

10．アントニオ猪木さん

元プロレスラーであり、元参議院議員のアントニオ猪木さんも、先端巨大症の噂がある有名人です。ただ、アントニオ猪木さんの場合は190cmと先端巨大症にしてはそこまで身長が高いというわけではありません。また、顔の雰囲気・顔立ちも、今までの先端巨大症の人とは少し違うように思います。

それでも、顎が出ているところ、日本人としては身長が明らかに大きいところなどを見ると、先端巨大症でもおかしくないかなとは思います。（顎はただシャクレているだけかもしれませんが）

そして、アントニオ猪木さんは39歳の時に糖尿病を指摘されていて、空腹時血糖が600近くあったとのこと。先端巨大症は耐糖能異常が症状の1つですから、これを考えると、やはり先端巨大症でもおかしくないですね。

まとめ

先端巨大症の症状や診断基準、原因、先端巨大症の芸能人・有名人をまとめましたが、いかがでしたか？

先端巨大症は身長が大きくなり、顔や顎、足などがどんどん大きくなってしまう病気です。早期に手術の治療をすれば治ることが多いので、自分の顔に異変を感じたら、早めに病院を受診することをおすすめします。