大多亮はフジテレビの伝説的プロデューサーだった

1つの時代を作り上げることを「エポックメイキング」と言いますが、トレンディドラマのジャンルを作り上げたのがプロデューサーの大多亮さんです。

平均視聴率30%超えの作品を、次々に世に送り出しました。

一体どのような人物なのでしょうか。まずは大多亮さんのプロフィールを見ていきましょう。

大多亮のプロフィール

大多亮さんは、フジテレビのドラマ部門で次々に視聴率30%越えのヒット作品を世に送り出した敏腕プロデューサーとして知られていました。

今と違って、1990年代はテレビを視聴する若者が多かったという前提があるものの、当時でもたて続けに30%超えを叩き出すのはかなり難しかったのです。

23年間に渡りドラマ部門を支え続け、2009年からはデジタルコンテンツ局長に就任した大多亮さんは、2013年からは常務取締役に就任しています。

大多亮の昔の経歴①　入社後は報道部門で活躍

大多亮さんはドラマ一筋のように思われがちですが、意外なことに入社直後の所属部門は報道でした。

社会部警視庁倶クラブを担当

大多亮さんがフジテレビに入社したのは1981年のこと。報道局に配属されて、社会部警視庁クラブを担当していました。

1987年に放送された連続ドラマ「パパはニュースキャスター」で、松澤一之さんが演じた「大多亮」役は、テレビ局の報道マンという設定。

脚本を担当した伴一彦さんのTwitterでは「大多記者は、フジテレビの大多亮から頂きました」とネタをばらしており、大多亮さんがモデルだったことが分かります。

大多亮の昔の経歴②　トレンディドラマというジャンルを確立

1986年に広報局広報部から、第一制作部（現在のドラマ制作センター）に異動になった大多亮さんは、1988年に「君の瞳をタイホする!」を担当しました。

それまでの月曜日9時枠の路線変更を図ったフジテレビは、29歳という若さの大多亮さんをプロデューサーに抜擢。

大多亮さんは、スタッフやキャストに若い人材を積極的に取り入れる手法で、新たなジャンルを切り開いたのです。

この作品が「月9のトレンディドラマ第1作目」と呼ばれるようになりました。

昔はトレンディドラマというジャンルはありませんでしたが、当時の都会に生きる男女の恋愛観を先取りし、ドラマのロケ地で使われたお洒落なスポットが人気を呼びました。

そもそもトレンディドラマとは？

「トレンディドラマ」という言葉は和製英語で、1980年代後半から1990年代に、20代の女性をターゲットにした作品を指しています。

若い人気俳優や女優がメインキャストに起用され、浅野温子さんと浅野ゆう子さんの「W浅野」、中山美穂さん、山口智子さん、鈴木保奈美さんなどがトレンディ女優と言われました。

トレンディ俳優も、トレンディドラマで人気が爆発した三上博史さん、江口洋介さん、織田裕二さんなどの豪華な顔ぶれ。

ドラマの登場人物は、一様にテレビ局や広告代理店に勤務していたり、デザイナーを生業にしていたりするケースが多く、視聴者の憧れを具現化していたようです。

2002年頃から低迷

飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びてきたトレンディドラマですが、2002年に放送された「ホーム&アウェイ」あたりから次第に苦戦を強いられるようになりました。

日本は不景気に陥り、これまでのお洒落を追求したドラマが次第に共感を呼ばなくなったから、と言われています。

2003年からはこれまでのキャスティング方針を一新し、ヒロインを一般公募するという取り組みに挑戦。

また、「HERO」や「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」などの過去にヒットした作品の続編に舵を切っています。

現在では、トレンディドラマという言葉は死語に近いかもしれません。

大多亮の若い頃からのライバルはフジテレビ元社長・亀山千広？

大多亮さんにとって、テレビドラマプロデューサーとして「永遠ライバル」と呼ばれる亀山千広さんの存在が大きかったようです。

亀山千広さんと言えば、ドラマ部門だけではなく、FIFAワールドカップ日本大会のテレビ放映を成功させたことで、「神の手」ならぬ「亀の手」という異名を持っています。

亀山千広のプロフィール

亀山千広さんは、大多亮さんより1年先輩で、1980年にフジテレビに入社しました。

同期には、現神奈川県知事の黒岩祐治さんや、福島テレビ社長を務めた横山淳さんなど、各ジャンルで現在も活躍している著名人がいます。

入社後は編成部に所属し、映画「南極物語」に出演した犬のタロとジロのお世話係が最初の仕事だったそうです。

その後、人気アニメ「タッチ」、「日当たり良好!」などを手掛け、1990年にドラマ部門に異動し、「ロングバケーション」、「踊る大捜査線」シリーズをプロデュース。

2004年には、夏休みのイベント「お台場冒険王2レインボーブリッジは封鎖するな!!」で初のイベントプロデューサーを務めています。

映画事業は、フジテレビにおいて一番の興行収入を記録し、亀山千広さんは貢献度の高さにより高評価されている人物です。

フジテレビ第9代社長に就任

2009年にフジテレビの第9代社長に就任した亀山千広さんは、長寿番組「笑っていいとも」、「ニュースJAPAN」などを打ち切る改革をしています。

フジ・メディア・ホールディングスの取締役も務めていましたが、2017年のフジテレビ社長退任時に取締役も退任。

ライバルと呼ばれていた大多亮さんも、フジ・メディア・ホールディングスの取締役として名を連ねていましたが、同じく2017年に退任しました。

亀山千広さんはその後BSフジの社長に就任しましたが、2025年に退任しBSフジのコンテンツアドバイザーを務めるようになりました。

一方、大多亮さんはフジテレビの常務取締役、専務取締役を経て、2024年6月に関西テレビ放送の代表取締役社長に就任しています。

良きライバルだった出世競争は、引き分けと言ったところでしょうか。

大多亮が結婚した嫁は誰？

敏腕プロデューサーとして、1つの時代を作り上げてきた大多亮さんですが、プライベートが気になりますよね。

嫁はどのような人なのでしょうか。

嫁の情報は明かされていない

大多亮さんは結婚しているのは確実のようですが、嫁についての情報は明かされていません。

嫁が一般人であれば、個人情報は今後も明かされないと思われます。

大多亮の息子は電通にコネ入社？

大多亮さんと嫁との間には息子がいるらしいと言われています。

また、その息子は電通にコネで入社したとまことしやかに囁かれているのです。

しかし、大多亮さんが家族情報を一切公開していないので、コネなのか実力なのかはおろか、本当に電通で勤務しているのか証拠となる情報は上がっていません。

電通に「大多」という方が在籍しているのは本当のようですが、この方が大多亮さんの息子さんかどうかは不明です。

大多亮は鈴木保奈美と不倫関係だった

大多亮さんと言えば、かつて鈴木保奈美さんとの不倫が話題を呼びました。

恋多き女性として知られる鈴木保奈美さんと、どういった経緯で不倫が始まったのでしょうか。

鈴木保奈美のプロフィール

1984年、ホリプロタレントスカウトキャラバンで12万人のライバルの中から、審査員特別賞を獲得して女優デビュー。

トレンディドラマに出演したことで知名度がアップし、1991年に主演した「東京ラブストーリー」では、奔放な女性・リカ役が当たりました。

ドラマ放送枠だった月曜日の夜9時は、繁華街から若い女性が消えるという現象が起きたエピソードも残っています。

プライベートでは、1998年に石橋貴明さんとの結婚を発表後、しばらくは子育てを優先していましたが、2011年に大河ドラマ「江～姫たちの戦国～」で女優復帰しました。

2021年8月には、石橋貴明さんと離婚したことが分かりワイドショーを賑わせました。

著書内で不倫を仄めかしていた

大多亮さんは、出演する俳優や女優とマンツーマン指導をして、作品を作り上げる手法を取っていました。

ただ、鈴木保奈美さんとは指導の枠を乗り越えて、いつしか恋愛関係になっていたようです。

大多亮さんは当時、既に既婚者だったことから、2人は不倫関係でした。しかし、不倫が報道されても、大多亮さんは事実ではないときっぱりと否定しています。

しかし、後年の著書「ヒットマン」において「保奈美を愛おしく思えた」と、不倫を認めるような記述があります。もしかしたら、もう時効だと判断したのかもしれません。

いつ2人が破局したのかは明確になっていませんが、その後、鈴木保奈美さんは共演者だった江口洋介さんとの熱愛報道もあり、恋多き女というレッテルが貼られています。

太田亮の現在①　フジテレビの常務取締役と専務取締役を歴任

2017年にフジ・メディア・ホールディングスの取締役を退任した大多亮さんですが、その後フジテレビジョンの常務取締役に就任しました。

近年は、テレビ界の凋落が噂されていますが、大多亮さんがどんな活動をされていたのか見ていきましょう。

いち早くネットフリックスと協業

米ネットフリックスが日本に上陸したのは2015年。当時は黒船が来たと大騒ぎになりました。

まさに海千山千の世界観でしたが大多亮さんは、いち早くデジタルコンテンツの可能性に注目し、ネットフリックスとフジテレビで協業しオリジナルコンテンツの制作を発表。

2019年には、ドイツの公共放送会社の子会社・ZDFエンタープライズ社と協業しドラマを制作すると発表し、その後「THE WINDOW」が作られました。

ネットフリックスと言えば、2020年以降の巣ごもり消費で、会員数が倍増したというニュースもあり、波に乗っているサービスです。

デジタルの成長に目を付けた大多亮さんの先見の明は、変わらず健在だったようです。

その後、大多亮さんは功績が認められたのか、2022年6月に専務取締役に昇任しています。

大多亮の現在②　カンテレの社長に就任するもフジテレビ問題で退任

カンテレ社長に就任した2024年にフジテレビ時代の問題が顕在化

大多亮さんは2024年6月に関西テレビ放送の代表取締役社長に就任しています。

社長就任に際し行った会見では、「日本で一番イノベーティブなテレビ局になりたい。」「その時代のコンプライアンスにあった、ヒット番組を作る腕前。これがテレビ屋に求められるものだと思う」などと語っていました。

しかし、就任から半年が経った頃、元フジテレビの女性アナウンサーが元SMAPの中居正広さんから性被害を受けていたことが報じられました。

フジテレビが被害を受けた元アナウンサーの女性に対し適切な対応をしていなかったこと(女性は事件後にPTSDを発症しフジテレビを退社)や、フジテレビの幹部社員が女性社員にタレントらとの飲み会で「上納接待」させていたことなども報じられ、一連の騒動は“フジテレビ問題”として世間を大きく騒がせました。

元フジテレビの女性アナウンサーと中居正広さんとの間にトラブルが起きたとされる2023年6月、大多亮さんはフジテレビの専務取締役を務めていました。

報道を受けて、大多亮さんは2025年1月に関西テレビで新年社長会見を開催し、中居正広さんと元アナウンサーのトラブルを早期に把握していたことを認めました。

ただ、「私の知る限り、性接待、上納というものはない。」とフジテレビで上納接待が常態化していたという疑惑については否定しています。

第三者委員会に責任を問われカンテレ社長を辞任

その後、2025年3月に第三者委員会により一連の騒動を巡る調査報告書が発表されましたが、大多亮さんは「性暴力に対する無理解と人権意識の低さが見て取れる」として実名で責任を問われました。

被害者である元フジテレビのアナウンサーが中居正広さんからの性被害を同局に申告した際、大多亮さんと当時の港浩一社長、編成制作局長は「プライベートな男女間のトラブル」と判断していたとのことです。

また、大多亮さんは調査報告書の中で別の事案として、有力な番組の出演者(後に福山雅治さんと判明)と設けた会合に女性アナウンサーや女性社員を同席させ、性的な内容を含む会話をしていたとの証言が寄せられたことも明かされています。

第三者委員会により当時のフジテレビ経営陣の責任が厳しく追及されたことを受けて、大多亮さんは社長の職を続けることは不適切だと考えたとして、2025年4月4日付けで関西テレビの社長を辞任しました。

大多亮さんは被害女性に対しては「女性の心情に寄り添うことできず、彼女を苦しめてしまったことは、本当におわびしたいと思っている」と述べています。

また、会合の中で性的な内容を含んだ会話があったと指摘されたことについては「全く私の認識が甘く、時代からずれていた。不快に感じた方がいるならば、申し訳ない」と述べました。

大多亮の現在③　フジテレビに50億円の損害賠償を求め提訴される

女子アナたちを集めて定期的に会合を開いていたことが明らかに

カンテレの社長を辞任し表舞台から退いた後も、大多亮さんに対する世間の風当たりは強いままのようです。

2025年7月、フジテレビで検証番組『検証　フジテレビ問題～反省と再生・改革～』が放送されましたが、番組の中で、大多亮さんがフジテレビ在籍中に同社の女子社員や女性アナウンサーを年齢や容姿に着目して集め定期的に会合を開いていたことが明かされています。

また、「女性アナは上質なキャバ嬢」「ホステスで売れるアナウンサーが良いアナウンサーだ」と発言していたことも明かされましたが、大多亮さんは言った記憶はないと語っていました。

フジテレビに提訴される

2025年8月、フジテレビは港浩一元社長と大多亮さんに対して、一連のフジテレビ問題での対応などに関して、50億円の損害賠償請求訴訟を提起したことを発表しました。

フジテレビは「任務懈怠（任務の義務を怠ること）によりフジテレビが被った損害の一部について、損害賠償請求をする」との声明を出し、2024年6日30日までに同局が被った損害額453億3503万6707円の一部として、港浩一元さんと大多亮さんに連帯して支払いを求めたということです。

まとめ

大多亮さんは、1980年代後半からトレンディドラマというジャンルを確立させた伝説的なフジテレビの元プロデューサーです。

初めて手掛けたトレンディドラマ「君の瞳に恋してる!」は、異例の人事で29歳でプロデューサーに抜擢。

「東京ラブストーリー」は最終回に視聴率32%を記録し、フジテレビの売り上げにも大きく貢献しました。

当時は否定していたものの、主演女優の鈴木保奈美さんと不倫関係にあったことを後年の著者で明かしたことでも話題になりました。

フジテレビの常務取締役や専務取締役、関西テレビの代表取締役社長などを歴任し華やかすぎるとも言える活躍を続けていた大多亮さんですが、フジテレビ問題が明るみに出たことで風向きは大きく変わってしまいました。

身から出た錆とも言えますが、非難の的となってしまった大多亮さんの今後の動向にも注目が集まっています。