無敵の人の意味とは

無敵の人とは、巨大掲示板の2チャンネルの解説者で元管理人のひろゆき氏が提唱した概念で、簡単に言うと、「失うものが何もない人」を指します。

無敵の人は社会から孤立し、犯罪を犯して警察に捕まることも恐れないので、犯罪を犯すことに何の躊躇もないため、「無敵の人」と呼ばれるようになりました。

ここで、ひろゆき氏のブログから無敵の人についての記述を引用します。

逮捕されると、職を失ったり、社会的信用が下がったりします。
元々、無職で社会的信用が皆無の人にとっては逮捕というのは、なんのリスクにもならないのですね。
花輪 和一さんの刑務所の中とか読んじゃったりすると、「刑務所もそんなに悪いとこじゃないのかもねー」とか思っちゃったりもするかもしれません。
そんなわけで、刑罰がリスクだと思わない人たちというのが存在しているのが現代の社会。

（中略）

ちなみに個人的に、こういう人を「無敵の人」と呼んでいたりします。

 

引用：無敵の人の増加。 : ひろゆき＠オープンSNS

このひろゆき氏のブログは、2008年6月30日のエントリーされた記事です。この記事を見たインターネットユーザーの中で少しずつ広がり、無敵の人による犯罪も増えたため、「無敵の人」はインターネットスラングとして、広く使われるようになりました。

無敵の人の7つの特徴

無敵の人は「失うものが何もない人」のことですが、具体的にはどういう人なのかを見ていきましょう。無敵の人の特徴を7つ説明していきます。

1．無職

無敵の人は無職のことが多いです。犯行を起こす前は働いたことがあったとしても、現在は無職というタイプですね。

また、犯行を起こす前も1つの仕事が長続きせずに、職を転々をしていたり、定職に就かず、日雇いの仕事をしながらフラフラしているタイプも多いです。

2．社会的地位がない

無敵の人は社会的地位がありません。「私はこういう者です」という身分がないんですね。特別に偉い役職に就いていないのはもちろんですが、「仕事をしていない」、「学校にも通っていない」、そのほか「何かしらの団体に属していない」という人が多いです。

3．家族と疎遠

無敵の人の3つ目の特徴は、家族と疎遠であることです。両親や兄弟はいても、距離があって、親しく交流していないどころか、勘当されている場合もあります。

同居していたとしても、「仲が良い家族」というわけではなく、いわゆる「家庭内別居」状態で、両親に寄生して生きているようなニートが多いです。

4．お金もない

無敵の人はお金がありません。無職だからお金がないのは当然と言えば当然なのですが、貯金があるわけでもないんです。お金がないし、仕事もない。もうこのままだと、食べるものすらない。そういう状態に近いので、無敵の人は貧困から「無敵状態」になってしまうのです。

5．社会的つながりが希薄

無敵の人は、社会的なつながりが希薄です。仕事もないし、社会的な地位もないので、よく言えば「しがらみがない」状態になります。

また、引きこもり状態の無敵の人も多く、自分からは外出せずに、自室に引きこもって、パソコンの前で1日を過ごすタイプが多いです。

6．友達もいない

無敵の人の特徴の6つ目は、友達がいないことです。学生時代からいじめられていたり、友達がいなくて、孤独を感じていた。人間関係を構築することが下手で、友達を作ることができないんです。

悩んだ時に相談する相手がいないので、無敵の人は「無敵の人」になってしまうんですね。

7．現況に不満を持つ

無敵の人の特徴、最後は自分の今現在に不満を持っていることです。自分に職も金もなくて、社会的な地位もなくて、いわゆる「底辺の人間」であることに不満を持っています。

しかも、現在は底辺にいるのは自分のせいではなく、親のせい・社会のせい・「あの時あんなことをしたあいつのせい」として、逆恨みをしていることが多いです。

無敵の人が最強の理由

インターネット上で無敵の人は最強と言われています。なぜ、無敵の人が最強なのか？それはもうわかりますよね。

無敵の人は失うものが何もないんです。だから最強なんです。

社会の中で生活をしていると、どんなにムカつくことがあっても、家族・仕事・人間関係・地位などいろいろなものを背負っているので、それを失うことを恐れます。その恐れが、犯罪抑止につながっています。

でも、無敵の人は失うものがないので、簡単に重大犯罪を犯しますし、その犯罪に無関係の人を巻き込んでしまうことに躊躇しないんです。たとえ逮捕されたとしても、今の状況とほとんど変わらない。それなら、むしゃくしゃするし、やってしまえ！というわけですね。

こういう心理があるから、無敵の人は最強とされるんです。無敵の人にとって、「刑法」は犯罪の抑制になるものではありません。逮捕されることを恐れていないんです。

だから、無敵の人は最強と言われているんです。法律が犯罪の抑制にならないので、無敵の人の犯罪を防ぐのは難しいと言われています。

無敵の人の殺人事件の事例①　黒子のバスケ脅迫事件

黒子のバスケ脅迫事件の概要

黒子のバスケ脅迫事件とは、週刊少年ジャンプに連載されていた「黒子のバスケ」の作者に対して行われた脅迫事件のことです。

黒子のバスケの作者である藤巻忠俊氏の母校の上智大学で、2012年10月に藤巻氏を中傷する紙が貼りつけられた硫化水素を発生させる液体が入った容器が発見されます。

その後、2チャンネルに犯行声明のような書き込みがあり、黒子のバスケ関連のイベントが行われる予定の場所や放送するラジオ局に脅迫状が届きます。この強迫ようにより、黒子のバスケ関連のイベントは次々に中止になりました。

さらに、「怪人801面相」を名乗る人物から、コンビニに脅迫状が届き、黒子のバスケ関連の商品を撤去するように要求し、書店やレンタルビデオ店にも同様の脅迫をしています。

2013年12月15日、大阪市東成区に住む当時36歳の元派遣社員の渡邊博史を逮捕しました。

無敵の人である犯人

失って惜しい人間関係もないし、なくして惜しい地位もない。だから犯行に及んだとのことです。

無敵の人の殺人事件の事例②　京都アニメーション放火殺人事件

京都アニメーション放火殺人事件の概要

京都アニメーション放火殺人事件は、令和元年を代表する重大事件の1つです。2019年7月18日、犯人の青葉真司は京都アニメーションの第一スタジオに侵入し、ガソリンをまいて、放火します。

スタジオはあっという間に燃え広がり全焼。建物内にいた社員36人が死亡し、33人が重軽傷を負うという過去に類を見ないほどの大事件となりました。

京都アニメーションはアニメファンの間では「京アニ」として知られ、とても有名なアニメ制作会社で、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「らき☆すた」、「けいおん!」などのヒット作を持っています。

無敵の人である犯人

京都アニメーション放火殺人事件の犯人は青葉真司で、事件直後に逮捕されています。そして、犯人自身も全身の90％がⅢ度の熱傷を負い、集中治療を受け、生命の危機を脱しています。

この犯人も、無敵の人でした。定時制高校を卒業後は職を転々とし、21歳の時に父親が自殺して一家離散。2012年にはコンビニ強盗などで実刑判決を受け、「仕事上で理不尽な扱いを受けるなどして、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」と供述しています。

出所後の2016年からは更生保護施設で過ごし、生活保護を受けながら生活していました。

この青葉真司は逮捕直後は命の危機に瀕していたため、京都第一赤十字病院から近畿大学医学部附属病院に転院し、高度治療を受けています。その後、状態が安定し、京都第一赤十字病院に戻る時には、医療スタッフに対して、「人からこんなに優しくしてもらったことは、今までなかった」と話しています。

このような供述を見ると、「無敵の人」に対いて社会がどう手を差し伸べていくかが大きな課題であることがわかりますね。

無敵の人の殺人事件の事例③　附属池田小事件

附属池田小事件の概要

2001年6月8日に発生した附属池田小事件は、宅間守が大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校に侵入し、小学生を無差別に襲い殺傷した事件です。この事件で、児童8名が犠牲になり、教員を含む15名が負傷しました。

宅間守は2003年に死刑判決を受け、2004年に死刑が執行されています。

無敵の人である犯人

宅間守の生い立ち、人生は壮絶なものでした。父親からはDVを受け、母親からはネグレクトを受けていたようです。また、高校中退後は職を転々として、事件を起こす30代後半まで1年以上続いた仕事は、自衛隊（1年強）と非常勤の地方公務員のみです。事件前は1年以上無職の状態だったようです。

宅間守は逮捕後に「エリートでインテリの子をたくさん殺せば、確実に死刑になると思った」、「大量に人を殺すような事件を起こせば（前妻が）私と知り合ったことを後悔するだろう」、「私の苦しい思いを、できるだけ多くの人にわからせてやろう」と供述しています。

こういう思考を持っているのは、「無敵の人」の特徴と言えるでしょう。

無敵の人の殺人事件の事例④　東海道新幹線車内殺傷事件　

東海道新幹線車内殺傷事件の概要

2018年の東海道新幹線車内殺傷事件は、東京発新大阪行きの「のぞみ265号」の車内で新横浜～小田原間を走行中に、犯人の小島一郎が鉈を振り回して乗客を襲い、女性2人を襲い、止めに入った男性1人が首を切られて死亡しました。

無敵の人である犯人

この事件の犯人は小島一郎です。中学時代に不登校になり、両親との関係もうまくいかなくなり、生活困窮者の支援施設で暮らすことになります。

その後は就職するものの、人間関係がうまくいかずに退職し、叔父と祖母と暮らすようになってからは再就職した仕事も止めて、引きこもりになっていきます。

仕事もせず、人間関係もうまくいかず、家族との関係もうまくいかないことで、失うものがない無敵の人間となったようです。

ケガをさせた女性2人については、「残念ながら殺し損ないました」、殺害した男性については「通路に倒れている人を殺そうとして見事に殺しきりました」と話しています。

動機については、「刑務所に入りたかった」、「自分で考えて生きるのが面倒くさかった。他人が決めたルール内で生きる方が楽だと思い、無期懲役を狙った」と無敵の人らしい動機を教授映しています。

無敵の人の殺人事件の事例⑤　秋葉原通り魔事件

秋葉原通り魔事件の概要

2008年6月8日に起こった秋葉原通り魔事件は、犯人の加藤智大が運転する2トントラックが赤信号を無視して交差点に侵入し、5人を跳ね飛ばしました。

その後、トラックを降りて、通行人や警察官をダガー（短剣）で殺傷していきます。この事件で7人が死亡し、10人が負傷しました。

犯人の加藤智大は、現場にいた警察官に取り押さえられ、現行犯逮捕されています。

無敵の人である犯人

この秋葉原通り魔事件の犯人の加藤智大も、いわゆる「無敵の人」でした。高校卒業後は主に派遣での仕事を転々としていました。職場の人間関係で問題を起こすこともあったようです。

そして、2007年ごろから「究極交流掲示板（改）」という掲示板に深入りするようになり、掲示板に依存していくようになります。加藤智大は掲示板との関係について「依存と一言で片づけられるものではなく、全ての空白を掲示板で埋めてしまうような使い方をしていた」と語っています。

掲示板でなりすましの荒らしが出現したことで孤立感を深め、注目を集めるために、掲示板に犯行予告を書き込んでいます。

無敵の人の殺人事件の事例⑥　福岡IT講師殺人事件　

福岡IT講師殺人事件の概要

福岡IT講師殺害事件は、被害者と犯人は直接面識がありません。それなのに行われた犯行でした。

被害者はHagexというハンドルネームの著名なブロガーでIT講師も務めていました。犯人はインターネット上で複数の人に対して誹謗中傷を行っており、ネットユーザーの間では「低能先生」と呼ばれる人物でした。

そして、その犯人から誹謗中傷の被害を受けていた被害者は、誹謗中傷されたらすぐに犯人のアカウントを凍結できるようにそのサイトの運営に依頼し、それを自身のブログで報告しています。

そのことに対して逆恨みをした犯人は、福岡で行われるセミナーに被害者が来るという情報をつかむと、その場で待ち伏せして、包丁で襲撃し、被害者は即死状態でした。

無敵の人である犯人

この事件の犯人は松本英光です。犯行を行った後、「はてな匿名ダイアリー」に「おいネット弁慶卒業してきたぞ。」「俺を『低能先生です』の一言でゲラゲラ笑いながら通報＆封殺してきたお前らへの返答だ」などと書き込みを行っています。

この犯人は成績優秀で九州大学文学部に進学しますが、留年を何度も繰り返し中退しています。その後は、工場で働きますが長続きせず、2012年以降はアパートに引きこもって、インターネットに没頭していました。

無敵の人の殺人事件の事例⑦　川崎市登戸通り魔事件　

川崎登戸通り魔事件の概要

2019年5月28日、神奈川県横浜市の登戸駅近くでスクールバスを待っていた小学生と保護者たちに、刃物を持った男が襲い掛かり、2名が死亡し18名が負傷する事件が起こりました。

この犯人は小学生の列から数十メートル離れた場所で、自分で首を切って死亡しています。

無敵の人である犯人

犯人の岩崎隆一は、事件当時51歳でした。伯父夫婦と同居していましたが、食事やトイレはルールを作って顔を合わせないようにしていて、同居しているとはいっても、実質は一人暮らししているようなものでした。

また、長年仕事をしていないようで、ずっと引きこもりの生活をしています。さらに、インターネットを利用している様子がなかったことから、完全に外部とのつながりがなかった最強の無敵の人と言える人物なのかもしれません。

無敵の人の殺人事件の事例⑧　富山交番襲撃事件

富山交番襲撃事件の概要

2018年6月28日、富山市の奥田交番を男が襲撃し、警官を30か所以上も刺して殺害。その後、けん銃を奪い逃走します。小学校に侵入し、警備員に発砲して殺害しました。

その後、駆けつけてきた警官に発砲され、逮捕されています。

無敵の人である犯人

この事件の犯人は元自衛官の島津慧大です。中学3年生の頃は不登校になり、家庭内暴力も振るっていたとのことです。そして、中学卒業後、数年してから自衛隊に入隊し2年後に退職。その後はアルバイトをしていました。

犯行の日はアルバイト先の店長と喧嘩になって店を飛び出し、家族にLINEで自分の所持品はすべて捨ててほしいと伝え、犯行に及んだようです。

まとめ

無敵の人の意味や特徴、最強と言われる理由、無敵の人が起こした殺人事件の事例などをまとめましたが、いかがでしたか？無敵の人は、失うものがなにもないので、犯罪を抑止するものがありません。

ただ、そのような人には手を差し伸べるような社会的な制度があれば、また違ってくるのかもしれませんね。